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2017.11.24 トライアスロン
インタビュー 谷 真海さん [トライアスロン]

【前編】「普通ではできない体験をたくさんさせてもらえて、 本当にラッキーガールです」

 

パラアスリート、谷真海。骨肉腫というがんを患い、右脚の膝から下を失ったのはチアリーディングに青春を捧げていた二十歳の頃。それから15年。彼女は今、自身四度目の大舞台に向けてトライアスロンに情熱を注いでいます。日本を代表するパラアスリートとして、一人の母として、三年後に迫った東京パラリンピックにかける思いを語っていただきました。

 

少しでも遠くに跳びたいという気持ちが生きる糧に

───谷さんは、かつて二〇〇四年に出版された著書『ラッキーガール』(著者名は旧姓の佐藤真海)で、チアリーディングに没頭していた大学時代に突如降りかかった骨肉腫、そして右脚膝下切断という出来事から、走幅跳でアテネパラリンピックに出場するまでの足跡を綴られています。「パラアスリート谷真海」の原点とも言える当時の経験について、今どのように捉えられていますか?

 

本を書いたのは十三年も前になるので恥ずかしい感じはしますけれど、同じような境遇の方とお話をする機会などには、自分自身の経験を振り返る意味で読み返すこともあります。その度に、病気の宣告を受けてからアテネパラリンピックに出場するまでというのは、人生において最も自分と向き合った期間だったなと思えます。闘病中も退院した後も、「もう昔の自分と違うんだ」という葛藤と戦いながら、将来についてより深く考えるようになりましたから。ただ漠然と生きるのではなく、残った自分の人生をしっかり輝かせようって。

 

───『ラッキーガール』というタイトルもそうですが、本の中で谷さんはとても前向きな言葉や表現でご自身の経験を記されています。実際は私たちが想像もできないような苦しみを味わってこられたと思いますが、そのようにポジティブに自分を鼓舞し、病気を乗り越えてこられたのはスポーツとの出会いがあったからこそと常々おっしゃっていますよね。

 

はい。まさにスポーツは私の人生になくてはならないものです。闘病中は大学のチアに戻りたいという思いがとても強く、それが大きな力になりました。義足で走幅跳をするようになってからは、少しでも遠くに跳びたいという気持ちが生きる糧になりました。その後も喪失感に襲われることはもちろんありましたけれど、スポーツのおかげでそんな自分の弱さと向き合いながら常にチャレンジしてこられたと思っています。だからこの先、競技者から引退した後も可能な限りずっとスポーツに関わり続けていきたいですね。スポーツは人の心を前向きにする力がある、じっとしてないで目標に向かって進んでいくことが大事であるということを、多くの子供たちに伝えていくことが私の使命だと思っています。

 

───そんな谷さんの思いは、東京オリンピック・パラリンピック招致活動の最終プレゼンテーションで世界に向けて発信されました。病気で脚を失った自身の経験や、故郷の気仙沼を襲った震災を機に「スポーツの真の力」を目の当たりにされたというスピーチに多くの人が心を動かされたと思います。

 

あのような大きな舞台で、招致委員会のプレゼンターという大役が自分に務まるのかと最初は不安でした。でもお話をいただいたからには、自分を成長させるチャンスだと思い、少し背伸びをする感覚はありながらも精一杯思いを伝えようと思いました。病気をして以来、ゴールも正解もわからないまま自問自答を繰り返しながら無我夢中で突き進んできましたけれど、プレゼンテーションを無事に終えたとき、「それでよかったんだよ」って言われた感じがしました。

 

───あれから四年。ご結婚、ご出産を経て再び競技者人生をスタートされていますが、走幅跳からトライアスロンへの転向に際してどのような思いがあったのでしょうか。

 

これまでアテネ、北京、ロンドンと三大会に出場してきましたが、どの大会でも自国開催の選手たちがすごく輝いて見えたんですね。もちろん同時にプレッシャーもあったとは思いますが、すごい経験だろうなって。だから二〇二〇年の開催地が東京に決まったときに、これは私にとって一生に一度のチャンスだなと。それで二〇二〇年までの間、後悔しないチャレンジがしたいと思い、出産を機に、より長く続けられるトライアスロンで東京を目指そうと決意しました。

 

───転向されてからまだ約一年半であるにもかかわらず、九月にはオランダ・ロッテルダムで開催された世界選手権で日本人選手として初めて優勝されました。チャレンジしてみて感じているトライアスロンならではの魅力とは。

 

トライアスロンは、子供から八十代の方まで、いろんな世代、境遇の人たちが同じスタートラインから同じゴールを目指す競技。障害の有無に関係なく、自分よりも年上の方々が同じように強い気持ちを持って臨んでいる姿を見て、素敵な競技だなぁと。スイム、バイク、ランと三つの種目を順にこなさなければならないのでなかなか満足のいく速さにはたどり着けませんが、時間をかけてじっくり成長していきたいです。ただ、世界選手権の優勝は走幅跳でも実現しなかったので自分が一番驚いています(笑)。

 

───走幅跳は瞬発系の競技。それに比べ、トライアスロンは一つのレースの中でいろんな段階を経てゴールに向かう持久系競技。その違いはとても大きいですよね。

 

走幅跳は六回の試技の中で、一瞬でそれまでやってきたことを発揮しなければいけないので集中力がとても大事になりますが、トライアスロンの方が日々の積み重ねがより試合に反映される感じがします。十年間、跳躍競技に専念してきたこともあって長距離を走ることには不安があったのですが、そんな中でも、前へ前へと、少しでも早くゴールしようとチャレンジできるのは苦しくもあり醍醐味でもあります。毎回ゴール前のブルーカーペットにたどり着いたときは、安堵感と、もっとやれたかなっていう反省の両方がありますね。

 

───子育てとトレーニングの両立は大変なことも多いと思いますが、どのように向き合われているのでしょうか。

 

毎朝、子供が起きる前にトレーニングに出かけるので寂しい思いはさせていると思います。その分中途半端なことはできないですし、時間も限られるので一回一回の練習により集中するようになりました。それに、子供がいてくれるおかげでオンとオフの切り替えもしやすくなりましたね。

 

(後編につづく)

 

【プロフィール】

谷 真海さん

たに・まみ●陸上選手。1982年宮城県気仙沼市生まれ。旧姓・佐藤真海。早稲田大学在学中に骨肉腫により右脚膝下を切断。卒業後サントリーへ入社し、走幅跳でアテネ、北京、ロンドンパラリンピックに出場。2013年にはIOC総会の最終プレゼンテーションでスピーチを行い、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定に貢献。現在、パラトライアスロンで4度目のパラリンピック出場を目指している。

 

*『青春と読書』2017年12月号より転載

聞き手・構成=徳原 海  撮影=矢吹健巳(W) ヘアメイク=秋月庸佑(traffic)

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