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2023.05.26 陸上競技 山本篤 近藤元 日本パラ陸上競技選手権大会
第34回日本パラ陸上競技選手権大会

新星・近藤元が100mで約20年ぶりの快挙! 山本篤は走り幅跳びで貫録の優勝

4月29、30日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で第34回日本パラ陸上競技選手権大会が行われた。今大会は7月にパリで開催される世界選手権の日本代表選手選考会も兼ねており、これが世界の舞台への切符獲得のラストチャンスでもあった。そんななか、4個のアジア新、17個の日本新記録が生まれるなど熱戦が繰り広げられた。

100mでは山本が20年ぶりに優勝逃す

今大会で注目された一つが、世界の舞台で活躍してきたベテランと、成長著しい新星とが火花を散らした、男子T63(片大腿義足など)のクラスだ。ベテランとは、2008年北京から4大会連続でパラリンピックに出場し、走り幅跳びでは北京、16年リオの2大会で銀メダルを獲得するなど、義足ロングジャンパーの第一人者である山本篤、41歳。一方、大学4年生の近藤元はもともと陸上競技部に所属していたが、20年に交通事故に遭い右足を切断。東京パラリンピックでパラ陸上の世界に魅了され、昨年パラアスリートとしてデビューしたばかりだ。

 

まず大会1日目に行われた100mで軍配が上がったのは、近藤だった。13秒56でゴールすると、0.39秒遅れて山本が稲垣克明と同タイムでゴールした。レース序盤にわずかながら風を感じたという近藤は、そこでスピードに乗り切れなかったという。さらに4レーンの近藤からも8レーンの山本の姿が目に入っていたといい、なんとか勝ちたいと必死に腕を振って走り、今回が2回目の勝負にして初めて山本に土をつけた形だ。

「昨年のジャパンパラでは僕が途中で転倒して、ゴールできませんでした。だから今回初めて、ずっとチャンピオンだった篤さんに勝てて素直に嬉しいです」

 

実は山本は腰に痛みがあったと言い、ようやく全力で走る状態まで戻ったのは1週間前のことだった。「一度2月末のドバイ遠征で痛めていて、3月末にまた同じような痛みが出てきたので、ドバイからの練習再開のペースが少し早すぎたのかもしれません。それで今回は少しゆっくりやりながらだったので、この日本選手権にぎりぎり間に合ったという感じでした」

 

山本がメインとしているのは走り幅跳びで、今大会では100mに無理にエントリーすることはなかっただろう。それでも欠場しなかったのは、ようやく男子T63に誕生した若きライバルの存在を大切にしたいという思いがあったからだ。

 

「やっぱり彼が僕と走りたいと思っていたと思いますし、同じレースで勝負することはすごく大切なことだと思ったので。久しぶりにライバルと呼べる存在が出てきてくれたのは、すごくうれしい。彼は若いですし、まだまだ伸びるはず。僕と同じように大学の陸上競技部で練習しているという環境を考えても、きっと強くなるだろうなと思っています」

 

とはいえ、近藤との勝負に負けたことについて山本は一切の言い訳をすることなく、「タイムはどうしようもない状態だったにしろ、負けてしまったというのは単純に悔しいですね」と本音を漏らした。それもそのはずだ。長い間、国内のレースでは負け知らずできた山本が、日本人に敗れたという経験は約20年ぶりだったのだ。

 

「もちろん彼もこれからもっと伸びるとは思いますが、自分も次は万全の状態にしっかりと戻して、負けない姿を見せたいと思います」

 

メダリストが経験値の高さを見せつけた走り幅跳び

翌日の大会2日目には、走り幅跳びが行われた。いずれも今大会前にすでに派遣標準記録を突破しており、世界選手権への切符をほぼ手中におさめた状態ではあった。しかし今大会で優勝して代表入りを確定させ、日本チャンピオンとして世界の舞台に上がるという強い気持ちが2人にはあった。

 

山本は腰のケガで今シーズンは練習でも一度も跳躍をしていないとしながらも、1本目で6m00をマーク。踏み切り板を踏んだ際、真上に抜けてしまった感覚があり、「ちょっともったいない跳躍になった」という。それでも6m75のアジア記録保持者である山本にすれば、本領発揮とはいかないまでも、今シーズン最初の跳躍で6mの大台にしっかりと乗せるあたり、さすがのひと言に尽きた。

一方、前日の100mで山本に勝った近藤は「明日の幅跳びでも篤さんに勝ち、1位になって世界選手権出場を確定させたい」と宣言。勢いそのままにと行きたいところだったが、優勝を意識したことがかえって力みにつながり、1本目は板の手前で踏み切り、5m52。コーチから「ガチガチになっているぞ。もっとリラックスして跳んだらいけるから」というアドバイスをもらったという近藤だったが、2本目以降も記録を出したいという気持ちが助走のリズムを狂わせ、踏み切り板を余した状態での跳躍が続いた。

 

ただ「このままではいい記録は出ないなと思って、力を抜いて跳ぶようにした」という5本目に5m91をマークし、山本に9cmと迫った。しかし、最後の跳躍では再び力が入り、5m91に終わった。

 

万全のコンディションではなかった山本は、「今日は4本が限界だと思っていた」と語り、3本目、5本目をパス。1本目を超える記録を狙い、スタンドに手拍子を求めて最後の6本目に臨んだ。しかし「練習できていなかった分、体力不足が露呈し、助走を全力で走れなかった」と言い、記録は伸びずに5m76。結局1本目の6m00がこの日の記録となったが、優勝を飾り、日本チャンピオンの座を後輩に明け渡さなかった。

 

先輩の意地を見せた形の山本は、5本目で近藤に9cmに迫られた際も、不安はなかったという。「今日の彼は踏み切りがばらばらだったので、無理だろうなということは最初から思っていました。だから抜かれる不安はなかったです。普通に跳んでいればまったく問題なく簡単に6mを超えていたはずです。踏み切り板を踏んでいないにも関わらず、5m91を跳んでいるわけですからね。すべてはメンタル。おそらく気合いが空回りしていたのだと思います。でも、もし今日僕に勝ったら天狗になっていたと思うので、良かったんじゃないかな。僕も同じくらいの年齢の時はそうでしたから。世界レベルではないのに日本で一番になると嬉しくてつい調子に乗ってしまうもの。だから今日は彼にとっていい経験になったと思います」

 

「一番期待している選手だからこそ、わざと聞こえる声で言っている」という山本の言葉を、すぐ隣で聞いていた近藤は、先輩が去った後のインタビューで真っ先に「悔しかったです」と述べ、こう振り返った。

 

「5本目は踏み切り板を踏まずに5m91を跳べたので、踏めたらもっといい距離が出るだろうなと思って6本目を跳んだのですが、たぶん力が入ってしまってダメでした」

それでも2日間にわたって偉大な先輩との勝負を存分に楽しんだのだろう。表情は終始、明るかった。一方の山本も念願の“ライバル出現”を喜んでおり、いい刺激となっているようだ。今後2人の対決は、日本パラ陸上の目玉の一つとなるに違いない。

 

2人が走り幅跳びで内定している7月の世界選手権は、4位以内に入れば、来年のパリパリンピックの出場内定が得られる重要な大会だ。果たして、世界のトップステージでそれぞれどんな跳躍を見せるのか。この夏、2人の日本人がパリの空を翔ける。

写真/越智貴雄・文/斎藤寿子

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