高校時代までおしゃれをする暇がないくらい、とにかく柔道一筋に打ち込んできたという廣瀬さん。今は「ピンクとかスカートとか、どうしてもかわいい洋服を着たくなっちゃうんです」とはにかむように、マリメッコやアナスイのポーチなど、カバンの中身も女子らしいグッズがいっぱい。
「マリメッコの花柄ポーチ(写真右下)にはパラリンピックのときから継続して飲み続けているプロテインを。水に溶かしてジュースのように飲んでいるのですが、練習終わりに飲んで筋肉をつけるもの、疲労回復するものなど、状況に応じて使い分けています。
柔道は相手の選手との距離が近いので、歯磨きセットや香水など、エチケットにも結構気をつかう選手が多いんです。擦れて唇を切ることも多いので、リップクリームも必需品。普段はあまりメイクをしないのですが、ハンドクリームやグロスなども一応ポーチ(写真左下)に入れています(笑)」
社会人になってから名刺を配る機会も増えたため、1年前に買ったという名刺入れ(写真左上)も、デザインが気に入ったサマンサタバサのものをチョイス。ただしひと際目を引くのは、カエルのポーチ!(写真右上)
「家にはぬいぐるみや置物を含めると50個くらいカエルグッズがあるくらい好きなんです。今日は控えめにこのポーチだけ持ってきました(笑)。巣鴨に行ったときにたまたま見つけてゲットしたもので、移動中に音楽を聞くためのイヤホンを入れています。好きなアーティストは川嶋あいさんや大原櫻子さん、そしてKinKi Kids♡ 社会人になってからやっとKinKi Kidsのファンクラブに入ったのですが、コンサートのチケットは外れてしまって……。いつか行ってみたいです!」
特に堂本剛さんの大ファンだという廣瀬さん。さすがにだんな様の悠さんが嫉妬したりしない?
「全然大丈夫です。悠さんはいつも『人は見た目だけじゃないことを俺が証明してやる!』って言ってますから(笑)。悠さんはすごくおもしろいし優しいし明るいし、誰とでも仲良くできるくらい社交的。普段女子大の柔道場もお借りして練習しているのですが、私よりも女子大生の連絡先を知っています(笑)。悠さんのおかげで、人見知りの私の世界もすごく広がりましたね」
女子としてのトキメキを忘れずに日常を楽むこと、そして大好きな旦那様とのうらやましすぎるラブラブな生活にこそ、視覚障害者柔道で世界に挑む廣瀬さんの、モチベーションの源があるのかも!
【視覚障害者柔道とは?】
互いに組んでから試合が開始され、離れた場合は中断して開始位置に戻る。場外規定は基本的に適用しない。区分は障害の程度ではなく体重別で行われ、全盲の選手も弱視の選手も一緒に戦う。ただし世界ランキングに加算されるポイントは障害の程度によって異なる。
【プロフィール】
廣瀬順子さん
ひろせ・じゅんこ●1990年10月12日生まれ、山口県出身。視覚障害者柔道57kg級。区分はB3。伊藤忠丸紅鉄鋼に所属。同じく視覚障害者柔道選手である悠さんと2015年に結婚。夫婦で出場した2016年のリオパラリンピックでは同種目で、日本女子初の銅メダルを獲得した。
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取材・文/松山梢 撮影/岩城裕哉 ヘア&メイク/中村 明紀子(HAIR BRAND Jin Tiara)