一ノ瀬メイさんと4 回にわたってパラスポーツの魅力をお伝えしてきた連載も今回でフィナーレ!昨年11月に行われ、メイさんも出場した「第34回日本身体障がい者水泳大会」の様子をお伝えします。
【写真1枚目】
大学生モデル・泉はるが、レース後の大学生パラリンピアン・一ノ瀬メイさんを直撃!
【写真2枚目】
会場は多くの観客で熱気ムンムン!メイさんのママからいただいた近畿大学の応援グッズを手にはるも準備万端。
【写真3枚目】
メイさんが出場したのは最も競技人口が多くライバル争いが激しいS9クラス。50m自由形に出場したこの日の目標は、ずばり自己ベスト更新!
【写真4枚目】
ぐんぐんと他の選手たちを引き離していくメイさんの圧倒的なスピードに、会場のボルテージはさらにアップ!はるも大声を張り上げてエールを送る。
【写真5枚目】
自己ベスト更新とはならなかったものの、自身の持つ大会記録を更新して1位に。メイさん自身は「納得のいく結果じゃなかった」と言うけれど、メダルを胸に誰よりも注目を浴びる堂々とした彼女の姿は、まさにトップアスリートの風格。
はる 大会記録更新おめでとうー!
メイ ありがとう。でも今回は自己ベストを狙っていたから、あまり結果的にはよくなくて……。
はる うん。泳ぎ終わったあとの表情で満足していない感じはすぐ分かった。
メイ でも前日の50mバタフライでは大会記録と日本記録を更新して、自己ベストも1.4秒更新する32秒98を出したの。もう、まれに見る大ベスト(笑)。見せたかったな〜!
はる 今日もかっこよかったよ!
メイ 惚れた?
はる うん、めっちゃ惚れた!
メイ いえーい♪
はる ちなみに、勝負飯ってあるの?
メイ とんかつ! でも今回は直前に胃腸炎になって食べられなくて。38度まで熱が出て3㎏減ったの。分かる? あごがスッキリしてるでしょ。
はる う、うーん(笑)?
メイ おかげでカラダが軽かったし、よかったかも。大会はどう映った?
はる 本当にさまざまな個性を持っている選手たちがいることを知ることができたし、すごく貴重な経験だった。車イスの選手がプールに入った瞬間、腕の力だけでグイグイ進んでいく姿とか、もう本当にかっこよかった!
メイ 他の競技と違って、パラ水泳は義足や義手などの道具を一切使わずに自分のカラダだけで勝負する競技なの。だから自分にしか頼れないし、お手本が少ないから自分で泳ぎ方を工夫して探ったり、個性や特徴がレースそのものに現れてくると思うんだ。個人的には、「失ったものを数えるな、残されたものを生かせ」っていうパラリンピックの精神を、一番体現しているのが水泳だと思うし、一度見てもらえたらおもしろいと感じてもらえると思う。
はる 特に私は同い年のメイちゃんが一つのことをこれだけ頑張って極めている姿を見て、本当に刺激になったし感動したよ。自分ももっと頑張ろうって思えたし、これからパラスポーツをもっと知りたいって思った。
メイ ホント? はるちゃんが興味を持ってくれたのは大きな一歩!
(後編につづく)
【プロフィール】
一ノ瀬メイさん
1997年3月17日生まれ、京都府出身。先天性右前腕欠損症。1歳半から水泳を始め200m個人メドレー、100m平泳ぎなど5つの日本記録を保持。リオパラリンピックでは8種目に出場。現在、近畿大学の3年生。
【ノンノwebサイト】
撮影/斎藤大嗣 ヘア&メイク/大島清子(Lila) スタイリスト/東久美子 取材・文/松山梢