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2024.07.23 前川楓 パリ2024パラリンピック 神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会 神戸世界パラ陸上
神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会

義足ロングジャンパー・前川楓、パリへの試金石となった“人生最高のジャンプ”

8月28日に開幕するロンドン2024パラリンピック。日本パラ陸上競技連盟は、7月1日に21人の第2次内定選手を発表した。その中の一人、前川楓(T63・片大腿義足)はメダル獲得が期待されているロングジャンパーだ。ライバルでもあり戦友でもある兎澤朋美とともにT63クラスの女子をけん引し、日本パラ陸上界のエースの一人と言っても過言ではないだろう。3回目の出場となる世界最高峰の舞台を目指し、記録更新に挑み続ける前川の姿に迫る。

パリが見えた渾身の大ジャンプ

パリへの扉を開ける最初のチャンスは昨夏に訪れた。パリで開催された世界選手権だ。その2年前の2021年、前川は東京2020パラリンピックでメダル獲得を目指したものの、結果は5位。それ以降、すべてをかけて臨んだのが、この世界選手権だった。

 

しかし、ライバルの兎澤が出場内定の4位に滑り込んだのとは裏腹に、前川は6位。当時の自己ベスト4m58に遠く及ばず、4m19という記録に終わった。「まさかここまで跳べないとは……頭が真っ白で、何も考えられません」。競技を終えた直後、前川は放心状態だった。それほど、世界選手権にかける思いは強かった。ただパリへの扉が閉ざされたわけではなく、前川の挑戦はその後も続いた。最も大きなチャンスだったのは、今年5月に東アジアでは初開催となった神戸での世界選手権だった。ここで2位以内に入った選手は、出場内定の方針が示されていた。

 

前川は前年の世界選手権で味わった悔しさを無駄にすることなく、しっかりとピークを合わせてきていた。それが大きな自信となっていたのだろう。ふだんは勝ちたいと思うあまり緊張で手が震えるという前川だが、この時はいい緊張感で高い集中力が保たれていた。

 

実際、1回目からシーズンベストを上回る4m41をマークし、調子の良さがうかがえた。そして最も顕著に表れたのが3回目の跳躍だった。リズムのいい助走を見せた前川は、踏み切りの位置も良く、しなやかさと力強さを掛け合わせた大ジャンプを披露した。

大きな手応えがあったのだろう。前川は記録が出るのを待つ間、その瞬間が待ち切れないような様子を見せていた。そして「4m66」と自己記録を大きく更新した数字が表示されると両手を挙げ、指導を仰ぐ山本篤と喜び合った。さらに記録は伸びなかったものの4回目には、踏み切りでぎりぎりの位置を攻めた跳躍を見せた前川。この時点で、2位につけており、パリへの扉は開き始めていた。

 

覚醒の時を迎え、目指す“3度目の正直”

だが、劇的な結果が待ち受けていた。まずは5回目の跳躍で兎澤がなんと前川とまったく同じ4m66を跳んだのだ。それでもこの時点では、2番目の記録が兎澤の4m50に対し、4m55と上回っていた前川が2位のままだった。

 

しかし、最後の6回目、兎澤が意地を見せ、4m61をマーク。ここで前川と兎澤の順位が入れ替わり、前川は3位に下がった。兎澤の記録を確認した後、前川は気持ちを落ち着かせるようにして、ゆっくりとスタート地点に歩みを進めた。そして、最後の跳躍に臨んだ。

 

「お願いしまーす!」

 

スタジアムに響き渡る大きな声で、前川はスタンドに手拍子を求めた。そのリズムに乗って、一歩目から大きく踏みこんだ攻めの助走で残る全ての力を振り絞るかのように強い踏み切りで、宙に舞った。しかし、その直後に赤旗が上がり、その瞬間、前川の銅メダルが確定。この大会での内定とはならなかった。

 

それでも彼女の表情には清々しい満面の笑みが浮かんでいた。一方、銀メダルと結果では前川を上回った兎澤にはまったく笑顔はなく、対照的な2人の姿があった。

 

「めちゃくちゃ嬉しいです。人生で一番いいジャンプができた日で、一番嬉しくて楽しくて。そして一番悔しいです!」

最後の跳躍は、風が止まっていたこともあり、前川はスタートの位置を5cm前にし、ギリギリを攻めていったという。そんな自分に後悔は一切なかった。「負けはしましたが、こんな清々しい負けはないなというくらい自分の力は全部出し切りました」

 

そして、今後の伸びしろも感じていた。「(4m66を跳んだ時)とてもいい感触で、これなら70、80ともっともっと伸ばしていけるなと感じました」

 

実は世界選手権前の大会では、助走が大きくばらついていたという。それでも何度もリズムをイメージトレーニングで染みつかせ、それを体現するようにして助走の練習を繰り返した。ようやくいい感触が得られるようになったのは、世界選手権の2週間前のことだった。前川のあくなき探求心が、“人生で最高の跳躍”を生み出したのだ。

 

結局、世界選手権での内定には至らなかったが、ハイパフォーマンスランキングで7位と入賞圏内につけている前川は、パリの代表選手に選出。世界最高峰の舞台での挑戦権を手にした。

 

6月、前川はSNSにこう綴っている。<今は陸上人生で1番楽しいです。最高に幸せ。毎日本気で頑張れるということが幸せ。(中略)さぁ、復活だ目醒めの時が来た!今!>(本文ママ)

 

8年前、初めて出場したリオ大会では4位。自国開催だった東京大会では5位だった前川。パラリンピックの借りはパラリンピックで返す。パリでは、3度目の正直を狙う。

写真/越智貴雄[カンパラプレス]・ 文/斎藤寿子

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