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2024.07.30 南井瑛翔 パラ水泳 至近距離のパラリンピアン パリ2024パラリンピック
パラリンピックイヤー・特別連載/至近距離のパラリンピアン

5歳から水泳一筋、水と仲良くなり世界のトップへ。2度目のパラリンピックで自分を超える! パラ水泳 南井瑛翔【至近距離のパラリンピアン13】

水しぶきの音が響きわたる。強豪近畿大学の屋内プールは、早朝から練習する大勢の学生たちの熱気につつまれる。その中で、逆三角形の体躯で水面を切り裂くように泳ぐバタフライ。近畿大学4年生、パラ水泳の注目選手・南井瑛翔だ。

5歳からスクールでスイスイと昇級

生まれつき左足首から先がない南井は、5歳で水泳を始めた。「自分の障害を隠さずにいてほしい」と願う両親の思いと、スイミングスクールから出てくる子どもたちを見て「僕も通いたい」と言った南井の希望が偶然にも一致したのだ。

 

だが最初は泣いてばかりだったという。「行くまでの準備とか面倒くさくて。でも行ったら行ったで楽しかったんで、辞めなかったんでしょうね。週1回だし」

 

才能の開花は早かった。「上達がめちゃくちゃ早いってコーチに言われました。スイスイ級が上がって、気づいたら小学3年生で全部の級を取り終わってました」

 

その後は6年生までずっと1番上の特級クラス。毎週同じことの繰り返しで退屈に感じるほどだった。

 

パラ水泳を知りハートに火がついた

中学入学と同時に学校の水泳部に入部。「スクールを辞めて、部活に専念しました。練習量は週1回から週6回に増えたので、だいぶしんどかったですね。でも同じ学年に仲間がたくさんいたので、楽しくやれてました」

 

転機は中3のときだった。水泳部の監督から紹介され、滋賀県で開催されたパラ水泳の選手育成コースの練習に参加。「それまでパラの世界は知りませんでした。自分の足に違和感はあったんですけど」。健常者の中で一緒に泳いでひけを取らず、障害というはっきりした自覚はなかったという。「まわりとは違うなーという、ぼんやりした感じだったと思います」。大会への出場を勧められ、パラ水泳の世界への第一歩を踏み出した。

 

「水泳への熱量が変わりました。パラ水泳っていう、自分も活躍できる場があるのを知って。同じ(障害の)クラスで戦えるのが、すごいおもしろかったです。」

中3の9月、初めて全国大会のジャパンパラ大会に出場した。「同じクラスの選手に、初めて負けた。それがすごい悔しくて、この人に勝ちたいって思って火がつきました。それで高校も水泳の強いところに決めました」

 

練習量を増やし日本代表に

高校に入ると練習量は飛躍的に増加。中学校時代の1日3000mから、夏は6000m冬は7000mへと増えた。「冬は陸上トレーニングを1〜2時間してから7000m泳ぐので、特にキツかったです」

 

得意種目も変更した。小学校から中学2年生まで平泳ぎを専門としていたが、ある日の練習でバタフライを泳いだ際、監督から「お前、バッタ(バタフライ)いいやん。センスあるなー」と言われ、「もうそれであっさり、バタフライに転向しました」

 

思いがけず東京パラリンピックに初出場

東京パラリンピックへの出場は、予想外の展開となった。当初、記録は伸びてはいたが、派遣記録には届かず、「自分には遠いと思ってました」。しかし新型コロナの影響で東京大会の1年延期が決定。「おっ、これいけるんちゃう? みたいな感じで」。その後、タイムを大幅に縮め、代表選手として選出された。「またとない自国開催のパラリンピック、嬉しかったですね」

 

「東京の選手村での2週間はあっという間でした。最も難しかったのは、レースのない3日間の過ごし方でしたね」。集中力の維持とリラックスとのバランスが難しかったと振り返る。個人では残念ながら予選敗退。だがよい経験になったという。「リレーにも選ばれて、すごい感謝してます」

 

「僕らは水と仲良くなるのが大事」

水泳の魅力について「ベストが出たときの嬉しさ」を挙げる。「やってきたことがちゃんと結果に出るので」。小学校からその積み重ねで自身の記録を更新してきた。去年初めて100mバタフライの記録が1分で停滞したが、今年ついに59秒3に更新。「やはり結果に出るのはおもしろいです」

 

この進歩の背景には「教えてもらったことをすぐレースで実践できる適応力が強みかも」と分析する。「気づかないうちに小学生の頃から身についていたのかもしれません」

その適応力を活かし、去年からバタフライのフォーム改善にも取り組んでいる。「上半身と下半身を連動して泳げるようになったので、まだまだ記録が伸びる手応えがあります。」と自信をのぞかせる。

 

トレーニングでは、障害のある側の筋肉も鍛えている。「意識してウェイトトレーニングしているので、今は水着も左右同じ太さを履けています。」

 

さらに、水との関係にも変化を感じているという。「泳ぎ方を意識的に変えたことで、以前は8割の力で出していたタイムが、今は6〜7割で出せるようになりました。」楽に速く泳げるようになり、「水と仲良くなれている感触がいいですね。」と言う。「水と仲良くならな(笑)。やっぱ敵に回したらダメなんすよ、僕ら。」

 

パリで“ミスターナイン”返上を誓う!

「これまでの世界選手権では9位が続いちゃって、ミスターナインって呼ばれてて」。その名を払拭すべく、パリへの気持ちを高めている。「自己ベストと決勝進出は最低条件です。決勝に残れるタイムは今年は持ってるんで、そこは自信持って挑みたいです。しっかり結果を狙い、メダル争いをする見応えのあるレースをしたい」と決意は固い。

 

自身の泳ぎについては「200m個人メドレーの中の最初のバタフライ」が注目ポイントと話す。「世界の選手よりも早く入って1番手か2番手でターンすると思うので、そこを見といてほしい。」

 

水と友となって、パリの水面を羽ばたく姿は見逃せない。

 

 

【南井瑛翔】

みない あきと●2002年10月15日生まれ、滋賀県守山市出身。生まれつき左足首から先がなく、運動機能障害が最も軽いクラス。5歳から水泳を始め、中学3年生でジャパンパラ競技大会に初出場。高校卒業後、競泳強豪の近畿大学へ進学。初出場の東京パラリンピックでは100m自由形・100mバタフライ・男子4×100mメドレーリレーの3種目に出場。2024年3月、200m個人メドレーでアジア新記録を出しパリパラリンピック出場内定を決めた。近畿大学所属。

 

▶南井瑛翔選手の他の記事を読む

 

【越智貴雄】

おち たかお●1979年、大阪府生まれ。大阪芸術大学写真学科卒。2000年からパラスポーツ取材に携わり、これまで夏・冬、11度のパラリンピックを撮影。2004年にパラスポーツニュースメディア「カンパラプレス」を設立。競技者としての生き様にフォーカスする視点で撮影・執筆を行う。写真集出版、毎日新聞の連載コラム執筆に加え、義足女性のファッションショー「切断ヴィーナスショー」や写真展「感じるパラリンピック」なども開催。ほかテレビ・ラジオへの出演歴多数。写真を軸にパラスポーツと社会を「近づける」活動を展開中。

取材・撮影/越智貴雄[カンパラプレス]

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