ブラインドフットボールとも呼ばれる。ルールはフットサルとほぼ同じだが、特有のルールもある。
1チームは視覚に障害のあるフィールドプレーヤー(FP)4人と晴眼、または弱視のゴールキーパー(GK)の1人の計5人で構成される。なお、パラリンピックなど国際公式戦ではFPは視覚障害クラスのなかで最も重いB1(全盲~光覚)に限定され、B2/B3(弱視)の選手は出場できない。B1の選手同士でも視覚差をなくして公平な条件でプレーできるよう、アイマスク着用が義務付けられている。
ボールは転がると、「シャカシャカ」と音が出る仕組みになった専用のもの。選手はこの音を頼りにボールの位置や動きを知り、追いかける。ドリブル中にあえてボールを止めたり、パスを浮かせたりしてボールの音を消し、相手をかく乱するテクニックにも注目したい。
ボールの音だけでなく、選手たちは視覚以外のさまざまな感覚を駆使し、味方や相手選手の声や足音、匂いや気配などからさまざまな情報を得てプレーしている。また、GK(守備エリア)、監督(中盤エリア)、相手ゴール裏に立つガイド(攻撃エリア)も各エリア内にいる選手に視覚的情報を与える役割を担っている。声掛けの仕方や内容も興味深い。
40m×20mのピッチにはサイドライン上に高さ約1mのフェンスが立つ。ボールや選手がピッチ外に出ることを防ぐとともに、選手はボールの跳ね返りを利用したプレーや壁際の激しい攻防などブラインドフットボールならではの見どころも生まれる重要な特徴だ。
試合時間は東京パラリンピック後に、前後半15分ハーフの計30分のプレーイングタイムに変更された。10分間短縮されたことで短時間での得点が求められ、プレーがよりハードにスピーディーになり、フィジカルコンタクトも厳しくなったと言われる。
一般のフットサルと同様、ハンドや手や脚をかけて相手を倒してしまったような接触プレーはファウルとなる。また、ブラインドサッカー特有のファウルもある。選手はボールを持った相手に向かっていくとき、自分の存在を相手に伝えるため、「Voy=ボイ」という声を出さなければならないというルールがある。「Voy」はスペイン語で「行く」を意味する。もし、「ボイ」と言わずにボールに向かっていくと、「ノースピーク」というファウルになる。
ファウルがペナルティエリア内の場合は相手にペナルティキック(PK)が与えられるし、ペナルティエリア外の場合はファウルがあった位置からのフリーキックが与えられる。また、前後半それぞれでチームファウルの合計数が5回を超えた場合は第2PKが相手チームに与えられる。通常のPKはゴールまでの距離が6m、第2PKは8mとなっている。
パラリンピックには各大陸選手権王者など8カ国が出場する。日本は東京大会では初出場(開催国枠)で5位。以降、国際大会に積極的に出場して経験と実績を積み重ね、パリ大会の出場権は初めて自力でつかんだ。また、2024年の世界ランキングは史上最高位の3位に達している。パリ大会の日本代表10人(うちゴールキーパー2人)のうち6人がパラリンピック初出場。フレッシュな布陣で、目標とする「メダル獲得」を果たし、新たな歴史を刻めるか、期待が高まる!
◆攻守に頼れるキャプテンであり、ここぞの一発があるエースストライカー、川村怜選手
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◆相手守備を置き去りにする高速ドリブルからの精度の高いシュートが強み、平林太一選手
◆2009年から日本代表のゴールを守る佐藤大介GK。守備陣への的確な声掛けにも注目!
文/星野恭子