パラバドミントンはヨーロッパやアジア圏で人気のスポーツで、1990年代から国際大会が開かれていた。近年の世界的な競技人口の増加と競技レベルの向上もあり、東京大会からパラリンピックの正式競技に採用された。パリ大会は、東京大会より2種目多い16種目が実施される。
パラバドミントンには大きく分けて「車いす」と「立位」の2つのカテゴリーがあり、さらに障害の種類や程度によって6つのクラスに分かれる。
車いすカテゴリーは、より障害が重いWH1と、比較的軽いWH2に分かれ、いずれもシングルスは半面コートで行う。立位カテゴリーは、下肢障害があるが立ってプレーすることができるSL3とSL4、上肢障害のSU5、低身長のSH6に分かれ、シングルスはSL3は半面コート、SL4とSU5とSH6は全面コートでプレーする。
試合は1ゲーム21点の3ゲーム制で、2ゲーム先取で勝利となる。ラケットなど使用する道具やネットの高さも一般のバドミントンと同じだ。ただし、車いすクラスは専用のコートマットを敷かずに試合を行う。
コートは一般のバドミントンコートを使用。シングルスで半面コートを使用する車いすクラスは、プレー中のインエリアはショートサービスラインから後ろのみ。コートが狭くなる分、ラリーが続く傾向があり、いかに正確なショットを出せるかが勝利のカギとなる。
一方、同じ半面コートでも下肢障害SL3は半面のすべてがプレー中のインエリアになる。ネット際のヘアピンショットの攻防に加え、ロングラリーを制する粘り強さも見どころだ。全面コートを使用する下肢障害SL4、上肢障害SU5は、フットワークを活かした攻撃的なプレーが魅力のひとつ。
低身長のSH6クラスは、打点を高くするためのジャンピングスマッシュや、歩幅の狭さをカバーするダイビングレシーブなど、アグレッシブなプレーが注目ポイントだ。
東京大会で日本勢は金3、銀1、銅5の計9個のメダルを獲得。日本が強豪国であることを世界に強烈に印象づけた。今回、日本代表に名を連ねた選手はパリ大会のポイントレースを勝ち抜いた12人で、そのうち2人が初出場となる。ダブルスは車いすクラスで3組、立位クラスで1組がエントリー予定。東京の金メダリストには連覇の期待がかかる。チームとして金3、銀2、銅3の計8個のメダル獲得を目標に掲げており、東京大会に続き日本の存在感を示したいところだ。
文/荒木美晴