オリンピックで卓球が採用された1988年ソウル大会よりもはるか前の1960年、ローマで開催された第1回大会からパラリンピックでは実施されている最古の競技の一つ。1976年トロント大会までは車いすに限られていた。日本では全競技を通じて金メダル第一号は、1964年東京大会の男子ダブルスだった。
1992年バルセロナ大会後に世界ランキング制度がスタートしたことにより競技性が高まり、ヨーロッパではオリンピックの代表クラスが出場するリーグに参戦する選手も。日本でも近年では実業団リーグでプレーする選手もいる。立位の八木克勝はパラアスリートとして初めて国内最高峰リーグ「Tリーグ」の琉球アスティーダに所属した。
非常に幅広い障害に対応しているため、競技人口も増加の一途をたどる。現在は世界100カ国以上で4000万人以上にものぼるとされている。プレーも個性にあふれ、過去のパラリンピックでは口にくわえてラケットを操作する両腕欠損選手が話題を呼んだ。さらにオリンピックとパラリンピックの両方に出場した選手もいる。2008年北京から2016年リオまで3大会連続でオリンピックに出場したナタリア・パルティカ(ポーランド)は、パラリンピックでは2004年アテネからリオまで4大会連続で金メダルに輝いた。
車いす、立位、知的の3つのカテゴリーに分かれ、車いすと立位は障害の種類や程度によってクラスが分けられている。使用する卓球台やネットの高さ、ラケットはオリンピック競技と変わらないが、ルールは障害を考慮して一部変更となっている。車いすではサーブが相手コートのサイドラインを横切ったり、相手コートでバウンドした後にネット方向に戻った場合は「レット(無効)」となり、サーブのやり直しとなる。
試合はシングルスとダブルスがある。パラリンピックでは車いすと立位はシングルスとダブルスを実施。知的はシングルスのみ。1ゲーム11点先取。シングルスは男女別、クラスごとに対戦し、5ゲーム中3ゲームを先取した方が勝利。ダブルスは男子、女子、混合がある。車いすでは、オリンピック競技のようにボールを交互に打つ必要はない。
男子の注目は、立位の八木克勝(クラス7)。昨年のアジアパラ競技大会で優勝し、現在世界ランキング2位。豊富なスタミナとコースを打ち分ける巧みなショットが持ち味だ。女子は、知的クラス(クラス11)で2大会連続出場の古川佳奈美と、初出場の和田なつきが金メダル有力候補として注目されている。26歳の古川は、現在世界ランキング2位。今年1月の国際大会では同1位の選手から勝利をおさめて優勝した。同4位の和田は、昨年のアジアパラ競技大会で優勝している。
文/斎藤寿子