脳原性麻痺などの重度障害者向けに考案されたパラスポーツ特有の競技で、起源は古代ギリシャの石投げにあるとされる。競技名の由来はラテン語でボールを意味する「bottia」。パラリンピックでは1984年ニューヨーク/ストーク・マンデビル大会から実施されている。
まずは先攻の選手がコート上に白いジャックボール(目標球)を投じる。次に先攻は赤、後攻は青の、重さ約275gのボールを1エンドごとに6球を投げ、ジャックボールにどれだけ近づけられるかを競う。
1人あたり1エンドの規定球数は、個人戦は6個、ペア戦は3個、チーム戦は2個。個人戦とペア戦は4エンド、チーム戦は6エンドで、それぞれ合計点を競う。
クラスは障害の程度によりBC1~4の4つのクラスに分けられる。BC1~2は個人戦と3対3のチーム戦、BC3~4では個人戦、ペア戦が行われる。東京2020パラリンピックまではいずれも男女混合だったが、パリ2024パラリンピックでは個人戦は男女別で行われる。クラスや種目ごとに投球の制限時間が決められており、時間内にすべてを投げ終えられなかった場合は、残りの球を投げることはできない。
投球フォームは上手投げや下手投げなどさまざま。手で投げることが難しい場合は、足で蹴ることが許されている。また障害の程度が重く、自力でボールを投げることが困難な選手は、傾斜がついた勾配具「ランプ」を使用し、口や頭に装着したポインターで操作して投球する。その場合、アシスタントが選手の指示通りにランプの長さや車いすの位置を調整したり、ボールを置くなどのサポートをすることができる。ただアシスタントがサポートする際は、コートを背にして選手の指示に応じてのみ動くことができる。選手への助言やコートを見ることは禁止されている。
先を読みながら数㎜単位の投球技術を駆使し、ジャックボールに近い相手ボールを弾くなど緻密な戦略は、オリンピック競技のカーリングを彷彿とさせることから「地上のカーリング」とも呼ばれている。
「火の玉ジャパン」の愛称で知られるボッチャ日本代表は、強豪がそろう。東京2020パラリンピックでは個人戦で日本ボッチャ史上初の金メダルに輝いた杉村英孝は連覇となるかが注目される。2021年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれた「スギムラライジング」が得意技。同じクラスの廣瀬隆喜との金メダル争いが繰り広げられる可能性も十分にある。また2021年世界選手権覇者で、初出場の21歳、内田峻介も金メダル有力候補だ。リオで銀、東京で銅を獲得している団体では3大会連続でのメダル獲得が期待される。
文/斎藤寿子