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2018.03.06 未来への扉 パラアイスホッケー PR

Chapter 1

アイスホッケー選手、上原大祐。

「スポーツで日本の未来を変える」

「スレッジ」と呼ばれる専用のそりを両手のスティックで操作し、1つのパックをゴールに運ぶべく相手と激しい金属音をあげながらぶつかり合うアイスホッケー。そんな疾走感と迫力を兼ね備えた「氷上の格闘技」の日本代表として、自身3度目の冬季パラリンピックに挑む上原大祐選手。トップアスリートとして、NECの社員として、子供たちへのスポーツ普及や障がい者の理解促進など「2020年以降の日本」を見据えた様々なプロジェクトにも従事している氏に、じっくりと話をうかがった。現役最後のチャレンジと言い切る平昌2018冬季パラリンピックへの特別な思い。そこに秘められたのは、未来への壮大なビジョンだ。

「練習する、よく動く、子どもたちとたわむれる。」それがアスリートとしての”スタイル”


去る1月。平昌2018冬季パラリンピックへ向けた強化試合として長野で開催されたアイスホッケーの国際大会を取材。アイスホッケー日本代表は、多くの地元ファンが見守る中、韓国、チェコ、ノルウェーという同じく平昌に出場する強豪国と激闘を繰り広げた。結果は惜しくも全敗。しかし、そんな中でも、試合前に率先して観客席の前をぐるりと一周し、満面の笑顔で手を振りながら歓声に応える上原選手の姿が印象的だった。

 

「いいプレーができたと思ってもそれを感じてもらえないと楽しくないですし、せっかく観にきてくれた子供たちには心から『スポーツって楽しいな』と思ってもらいたい。選手ってどこか遠い印象に映ることもあるでしょう。そうではなく身近な存在に感じてもらいたいから、子供たちには「大ちゃん」と呼んでもらっています。身近だからこそ応援したくなるし、友達にも話す。そうやって人が人を呼ぶ環境を作って、観客席をいっぱいにしていきたいと思っています」

 


上原選手はいま、現役アスリートでありながら、練習や試合と並行し、社会発展を向けた様々な取り組みに参加。NECの社員としては、例えば「顔認証などのICTを活用することで簡単に駅の改札が通れる」といったように、障がい者はもちろん、高齢者からベビーカーのお母さんたちまで誰もがスムーズに生活できる社会の実現を目指し、また自身が代表を務めるNPO法人では障がいを持つ子どもたちへのスポーツ普及活動なども行なっている。実際、相当多忙な日常を送っているが、それでも疲れを見せることは一切なく、むしろその表情はいつもバイタリティに満ち溢れている。

 

「私はアイスホッケーの練習だけでなく、全ての活動が自分の中心と考えています。だから『練習する、よく食べる、よく寝る』といった普通のアスリートのルーティンとは違って、私のそれは『練習する、よく動く、子供たちとたわむれる』なんです(笑)。今日も練習の前に子供たちとそりのアイスホッケーの体験会を楽しんできたのですが、そのおかげでとてもコンディションはいいですね!」

 

これまでのアイスホッケー人生で培ったのは、自分の弱みを強みに変える方法


ここからは上原選手のパラリンピックアスリートとしてのキャリアをあらためて振り返ってみたい。19歳の頃、競技人生のスタートは長野県の軽井沢で生まれ育った氏にとってはある意味必然とも言える出会いからだった。

 

「小学生の頃からアイスホッケーやスピードスケートが身近にある環境でした。ただ、当然ながら友達はみんなスタンディングだったので混ざり合うことはできず、私はトランペットやギター、ピアノといったようにずっと音楽をやっていました。そんな折、高校生の頃に長野1998冬季パラリンピックが開催されたんですよ。大会中にうちの高校でレセプションが行われ、その時にドイツ代表のアイスホッケー選手から『何かスポーツしているの? アイスホッケーは面白いからぜひやってみなよ』と言われたのが最初のきっかけですね。また、当時私に車いすを作ってくださっていた社長さんからも『お前ほど車いすをよく壊す人間はいないから、そのやんちゃぶりをアイスホッケーにぶつけてみたらいい』と(笑)。その後、大学2年生になり、練習場に通うために車の免許を取ってから本格的に始めました」

 

そこから夢中になるまでは「ゼロ秒だった」という上原選手。「好きこそ物の上手なれ」を体現するかのように、驚異的な成長スピードでアスリートとして飛躍していく。アイスホッケーを始めた翌年、2002年ソルトレイクシティでパラリンピックが開催される頃にはすでに、自身が次のパラリンピックの舞台で活躍する姿が具体的にイメージできていたという。

 

「ソルトレイクシティの時は始めて1年しか経っていなかったのでメンバーには当然選ばれませんでしたが、先輩たちを成田空港まで見送りに行った時に『今度は見送られる側になりますね!』と生意気なことを言ったんですよ、私(笑)」

 

まさに有言実行。4年後、上原選手はトリノ2006冬季パラリンピックに出場し、さらに2010年のバンクーバーでは準決勝で値千金の決勝ゴールを決めて銀メダル獲得に大きく貢献。そのように短いスパンで世界の舞台で戦えるアスリートになれた要因を、本人はこう捉えている。

 

「私は他の選手に比べてかなり体が小さいので、昔はチェックをくらうたびに相手のひじが顎に入り、試合でも脳しんとうを起こすことが多かったんです。そこで、『この小さい体をどう使ったら勝てるんだろう』と、自分の弱みを強みに変える方法を真剣に考えるように。その答えが頭を使ってアイスホッケーをすること。どこでフェイクを入れたら相手の裏をかけるか、どの距離感で相手と対峙すれば当たられずに相手の嫌がることができるか、局面局面において自分のテリトリーをどの範囲に置くか、そういった細かい部分を常に考えてプレーするようになり、そのためのイメージトレーニングにも時間を費やしました」

 

平昌では、アイスホッケーの未来に繋がるプレーを見せたい。


まもなく平昌2018冬季パラリンピックが開幕する。上原選手は2010年のバンクーバー冬季パラリンピック後、1度現役を引退するも、今回の平昌2018冬季パラリンピック出場に向けてリンクに戻った。きっかけは、子供たちからの声だったという。

 

「NPOの活動で出会った子供たちや親御さんさんたちから、次第に『大ちゃんが氷の上でプレーする姿が見たい』という声が増えてきまして。私が戻ることで、彼らにスポーツの楽しさがより伝わるのであれば復帰もありなのかなと。それに、最近はスティック作りもしているのですが、そのスティックを私自身が使うことで日本の技術を世界に発信することができるのではないかとも思いました。何かを変えたりより良くするためには、現役だからこその発信力や説得力も必要であると強く感じたんです」

 

アイスホッケー日本代表は、2014年、ソチ2014冬季パラリンピックの出場権を逃した。当然、日本代表をもう一度パラリンピックの舞台で戦えるチームに戻したいという思いも強かった。

 

「復帰してまず思ったのが、潜在能力はあるのに伸びていないなーという選手が多かったこと。だから自分が頭を使ってプレーをしてきたからこそ身につけられた知識やスキルを、ほかの選手にも生かしていくのが私の役割かなと」

 

そのようにトリノ2006冬季パラリンピック、バンクーバー2010冬季パラリンピックの時と比べ、競技と向き合うスタンスは少し違う。それでも、メダルを見据えてプレーをすることに変わりはない。

 

「前の2大会は自分の首からメダルを下げるためのパラリンピック。今回の平昌2018冬季パラリンピックは、より広い視野を持って、何かしらアイスホッケーの未来に繋がるプレーをしたいですし、ちょっとした発言でもチームに貢献できるようにしたい。そういう意味では自分よりも周りに意識を向ける大会といえます。とはいえ、メダルを目指さないアスリートはアスリートじゃないですから。アスリート上原大祐、NECの社員である上原大祐、NPO代表として子供たちに何かを届けたいと思う上原大祐。いろんな立場の上原として、メダルを取りたいですね」

 

2020年を、ゴールではなく、日本のスポーツ界全体の新しいスタートに。


どのスポーツにも言えることだが、長く現役を続け、上を目指し続けるためにはフィジカル・メンタル両方でのタフさが求められる。多大なプレッシャーが加わる日本代表ともなればなおさらだし、上原選手のように競技以外の取り組みにも力も注ぎながら、となると、そのハードさは想像を絶する。そんな中で、上原選手の大切なモチベーションになっているのがパラリンピックスポーツのさらなる普及や社会発展。2020年に向けて、アスリートを取り巻く環境は以前と比べて飛躍的に良くなってはいるものの、上原選手の目には課題が多いと映っている。

 

「日本には1つのスポーツを始めたらそれをやり通すことが美しいという風潮がありますよね。しかし、いろんな競技を経験してみることで『スポーツが苦手だ』ではなく『このスポーツが得意だ』というように意識が変わることもあるのです。それでもダメなら他の何かを探せばいいんです。1つのことだけで自分の可能性を狭めてしまうのはもったいないないなって思いますし、そこが2020年、ひいてはその先に向けて日本のスポーツ界がもっと成長し、パラリンピックスポーツが広がっていくためにもとても重要なポイントなのかなと。たしかに資金面などの状況は良くなっているとは思いますが、そういった意識改革や環境作りはまだまだという印象です。だから私たちは、2020年をゴールではなく、本当の意味でのスタートにしなければいけないなと思っています」

 

目の前の課題を、ユーモアを持って、ポップに解決していきたい。


アスリートとしてのプレーもNPOの活動もNECでの仕事も、常に何かしら課題を設け、それを解決していくことが自身の性分であると力強く語る。平昌2018冬季パラリンピックでは、そんな上原選手の真骨頂が見られるに違いない。

 

「障がいを持つ私、パラリンピックスポーツをしている私が課題を1つ1つクリアしていくことで、スポーツそのものがより良い方向に変わり、それによってみなさんの生活が少しでも豊かなになるとうれしいですね。どんな難しい課題でも、ポップに、ユーモアを持って解決できる人間の象徴になれたらいいなと思っています」

 

前述の通りアイスホッケーを始める前から周りが手を焼くほどの「やんちゃ坊主」だった上原選手。今でも、その原点を大切にしている。

 

「やんちゃだったから、いろんな人に怒られながらもアイスホッケーの世界で戦い、『日本の上原』と認識されるところまで行けました。やんちゃとは、ワクワク、ドキドキするのが好きなこと。自分自身がそこを突き詰めないと、人に楽しさや幸せな気分を届けることなんてできない。だからこれからも、思う存分やんちゃをしながら、自分が楽しい、すばらしいと思うことをしっかり人に伝え、かつ多くの人に『大祐と何かやりたいな』と思ってもらえるような活動をしていきたい。みなさんと一緒に世の中を変えていきたいですね」

 


PROFILE
うえはら・だいすけ

●1981年生まれ、長野県出身。生まれながら二分脊椎という障がいを持ち、19歳でスレッジ(そり)のアイスホッケーを本格的にスタート。その後日本代表に選出され、トリノ2006冬季パラリンピックに出場。続くバンクーバー2010冬季パラリンピックでは銀メダルに輝く。2013年の現役引退後、2016年にNECに入社。2017年に現役復帰し、平昌2018冬季パラリンピック出場権獲得に貢献した。

Photos:Takahiro Idenoshita Movie:Hiroki Homma Composition & Text:Kai Tokuhara

※NECはJPCゴールドパートナー(パブリックセーフティ先進製品&ネットワーク)

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