メイクをしても練習で落ちてしまうため、普段はほぼスッピン。「いろいろ持ちすぎると忘れるから(笑)」と、荷物も必要最小限しか持たないそう。世界中を軽やかに駆け回る網本さんらしい、かなり身軽なバッグの中身だけれど、アクセサリーは海外にも必ず持っていくのだとか。
「特に母からもらった指輪やネックレス(写真右上)は、ここ4〜5年ずっと肌身離さずつけてます。ドイツに行く前や世界選手権の前にお守りとしてもらったものなんです。普段は毎日練習やからはずしているけど、必ずバッグに入れています」
移動中やジムでのトレーニング中に欠かせないのが、音楽を聞くイヤホン(写真右)。もっぱら洋楽ばかり聞くそうで、ジャンルやアーティスト問わず、気になった音楽を幅広くチェックするそう。
「ドイツではチームのみんなと交代で、オレンジ色のド派手な車の運転を担当しているんですが、移動中にラジオから流れてきたヒット曲を調べて聞くことも。ドイツ語やから歌詞の内容もよくわからないんですけどね(笑)」
子供の頃からなぜか手に取るものは緑が多かったと言うように、財布や名刺入れ(写真右下、左上)なども緑。5年間同じブランドを愛用しているというスケジュールを管理する手帳(写真左下)も、もちろん緑をセレクト。
「文字を書かないと日本語を忘れそうやから、スケジュールはアナログで管理して頭に入れるようにしてます。この手帳には練習やイベントなどの予定や練習場の住所の他に、どんなことがあったかを書くなど日記としても使っています」
各国から選手が集まるドイツチームでは、コミュニケーションは基本、英語。いつもドイツ語と英語の両方が書いてある会話集を持ち歩いている。
「海外生活で一番大変だったのは、やっぱり言葉。言いたいことをちゃんと言えないと誤解されかねないので、伝え方のニュアンスなんかも難しいですね。今は英語でコミュニケーション取ることにまったく支障がないけれど、ドイツの小学校に講演会に行ったとき、『もっとドイツ語がわかったら楽しいだろうな』と思って勉強を始めたところ。毎日とりあえず持ち歩いているけど、実際は見ないことのほうが多いですけどね(笑)」
1年のうち9月〜3月中旬までドイツ、4月〜7月までオーストラリア、その間に日本に帰国。男子選手に混じってプレイする長い海外生活で、様々な文化の違いを実感することも。
「日本の場合はタイヤの跡がつくという理由で使わせてもらえない体育館も多いけど、その代わり施設は断然キレイ。海外はどんな体育館でも使える代わりに、土足だしモップをする習慣もないから、結構汚くて滑るんですよね。練習環境や大会の運営の仕方など、日本にも海外にもそれぞれの良さがある。私が橋渡し役になって、いろんな経験を日本に還元できたらと思っています!」
【車いすバスケットボールとは?】
コートの広さや人数、ゴールの高さは一般のバスケと同じだが、車いすを3 回以上こぐとトラベリングになる、ダブルドリブルは適用されないなどのルールの違いがある。また障がいが重い1.0点から軽い4.5点まで持ち点がクラス分けされ、コートに出ている5 人の合計が14.0点以内である必要がある。
【プロフィール】
網本麻里さん
あみもと・まり●1988年11月15日生まれ、大阪府出身。エイベックス所属。16歳で女子車いすバスケットボールの日本代表に。ポジションはフォワード。持ち点は4.5。2008年の北京パラリンピックにはチーム最年少の19歳で出場し、7試合で133点を挙げて得点王に。
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取材・文/松山 梢 撮影/永躰侑里 ヘア&メイク/久保フユミ(ROI)