大阪で5月18日から「ブラインドサッカーの今」を知り、魅力を満喫できる大会が開催される。「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」だ。大会キャッチフレーズは「超人Football」。大会は5月25日まで、JR大阪駅中央改札口直結の「グランフロント大阪・うめきた広場」を舞台に、全20試合が無料で開催される。

JR大阪駅直結の「グランフロント大阪・うめきた広場」で開催。会見では日本障がい者サッカー連盟の北澤豪会長（左から4人目）も観戦を呼びかけた。左から、女子日本代表の山本夏幹監督、同若杉遥キャプテン、日本ブラインドサッカー協会金子久子理事長、北澤豪氏、（株）ダイセル小河義美代表取締役社長、男子日本代表の川村怜キャプテン、同中川英治監督

実は、昨年7月にも同じ会場で、パリパラリンピックを控えた男子代表の強化・壮行大会として4カ国対抗戦が4日間の日程で行われた。駅前広場に突如現れた芝のピッチに、連日、多くの人が足を止め熱戦を楽しんだ。今年は男女併催となり、どちらも国際視覚障害者スポーツ連盟（IBSAが公認する新規の国際公式戦にスケールアップした。

男子大会の名称は、「エリートカップ2025　in うめきた」となる。同カップはパラリンピック・世界選手権につぐ大会で、世界ランキング8位までしか出場できないハイレベルな大会として新設された。1回目となる「うめきた大会」には世界ランキング3位の日本をはじめ、同1位のアルゼンチン、同6位のタイ、同8位のコロンビアが激突する。

男子日本代表は昨年のパリパラリンピックでゼロ勝8位に終わった悔しさを踏まえ、次のロサンゼルスパラリンピックに向け、すでに始動している。中川英治監督は、「（うめきた大会では）勝利はもちろんだが、新戦力の見極めと新しいプレーモデルを試したい。来年はアジア選手権が、再来年には世界選手権がある。本番のロサンゼルス大会に向かって、階段を上っていくような感じで考えている。まずは来年、アジア王者になることが大きな目標で、今大会はチーム強化として、すごく大事な大会になる」と意気込む。

女子の大会名称は「ワールドグランプリ2025 in うめきた」で、世界選手権につぐ大会として創設された。女子は2028年のロサンゼルス大会で、パラリンピック正式種目入りも目指しており、「うめきた大会」はブラインドサッカー女子の世界的な広がりやレベルの高さをアピールする重要な場にもなる。日本は現在、世界ランキング1位で、イングランド（同4位）、アルゼンチン（同5位）、そして、オーストラリア（国際大会初出場）と対戦予定だ。

女子日本は2023年、第1回世界選手権（イギリス）の決勝でアルゼンチンに苦杯をなめ、準優勝に終わった。今年10月に開催予定の第2回大会での初優勝を大きな目標に掲げている。山本夏幹監督はうめきた大会について、「女子としては国内で初の国際公式戦となる。開催に感謝するとともに、（ワールドグランプリの）初代王者も狙って結果を出し、世界選手権につなげたい。女子のブラサカも面白いなと感じてもらいたいし、女子が輝く大会になれば」と活躍を誓う。

開幕に向け、男女日本キャプテンが意気込み

大会に先駆けて4月9日に行われた組み合わせ抽選会は、世界にライブ配信もされた。男女それぞれが総当たり戦の1次リーグを行い、その結果により1位と4位、2位と3位による準決勝戦を行う。そして3位決定戦と決勝が行われる。

男子日本は1次リーグで順にコロンビア、アルゼンチン、タイと対戦する。日本はパリパラリンピックの初戦でコロンビアに、第3戦でアルゼンチンに、いずれも0-1で敗れている。川村怜キャプテンは、「コロンビアとアルゼンチンにはリベンジしたいという思いがすごく強いし、試合順が決まって初戦が（パリパラリンピックと同じ）コロンビアになったことに興奮した。また、来年のアジア選手権優勝という目標を見据え、タイとの試合も大きい。個人的には、（出身地である）大阪の地でベストパフォーマンスを発揮できるように、そして、ブラインドサッカーを日本国内でより身近な存在として感じてもらえるような1週間にしたい」と力強く抱負を述べた。

女子の若杉遥キャプテンは、「優勝という結果で、大会開催に恩返ししたい。日本チームとしてこの大会で結果を残すことはもちろん、ブラインドサッカーの女子選手全体で大会を盛り上げていけるように、力を1つに頑張りたい。（初戦の相手として）2023年の世界選手権決勝で負けたアルゼンチンに決まり、ワクワクしている。バシッと決めて、いい流れでこの大会を始めたい」と力を込めた。

新代表チームでの意気込みを語った女子の若杉遥キャプテン（左）と男子の川村怜キャプテン

代表初選出の高校生も！新生日本代表の活躍に注目

「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」には男女ともに、新日本代表メンバーで臨む。男女とも経験豊富なベテラン勢に、代表初選出のニューフェイスたちが加わり、攻守にわたってそれぞれ厚みのあるパフォーマンスが見られそうだ。4月20日は男女の強化合宿がメディアに公開され、それぞれ対戦相手をを想定した戦術の確認する試合形式の練習などで汗を流した。

男子代表初選出となるチーム最年少の高校2年生、林健太は「ドリブルからスピードにのったシュート」が持ち味だ。パリ代表で今年、大学生になったエース、平林太一と強みやポジションが重なるが、「自分のいいところをアピールして、1分でも長く試合に出られるように努力したい」と活躍を誓った。中川監督によれば、二人のプレータイプは異なるので、交互に起用することで、「攻撃のオプションが増える。対戦相手にはやっかいな二人だと思う」と、活躍に期待を寄せた。

代表に初選出された高校２年生の林健太。チーム最年少での活躍を誓った

女子のベテラン、和地梨衣菜ゴールキーパーは安定したセービングに加え、フィールドプレーヤーに指示をする的確なコーチングも強みとしている。駅前のザワザワとした広場を舞台とする「うめきた大会」では、「声の強弱も意識した声掛けで、選手に聞こえやすく伝わりやすいコーチングを心がけ、攻撃につなげたい」と意気込んだ。

うめきた大会ではワクワクするカードばかりがつづく。会場でじっくり観戦するもよし、仕事帰りにふらりと立ち寄るのも自由だ。会場では実況中継が聴けるラジオの無料貸し出しサービスもある。また、全20試合が日本ブラインドサッカー協会（JBFA）公式YouTubeチャンネルで実況中継付きでライブ配信されるほか、映像配信サービス「GAORAオンデマンド」でもライブ配信予定だ。6月にはCS放送GAORA SPORTSで男女3位決定戦と決勝の録画放送も予定されている。

写真・文／星野恭子

＜ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた＞

・大会HP：　https://blindfootballweek.b-soccer.jp/
・試合スケジュール：　https://www.b-soccer.jp/news/28568-20250430
【日本戦スケジュール】
5/18(日)：17:45~ [男子] 日本vs コロンビア
5/19(月)：19:00~ [女子] 日本 vs アルゼンチン
5/20(火)：15:30~ [女子] オーストラリア vs 日本／19:00～[男子] アルゼンチン vs 日本
5/21(水): 16:00~ [男子] 日本 vs タイ／19:00~ [女子] 日本 vs イングランド
5/22(木): 19:00~ [男子] 準決勝 第2試合（日本戦）
5/23(金): 19:00~ [女子] 準決勝 第2試合（日本戦）
5/24(土): 12:30~ [女子] 3位決定戦／16:30~ [女子] 決勝
5/25(日): 12:30~ [男子] 3位決定戦／16:30~ [男子] 決勝
・JBFA公式YouTubeチャンネル：　https://www.youtube.com/channel/UCzfemHfCRGlOpylhditYFSA
・GAORAオンデマンド配信ページ：　https://vod.gaora.co.jp/set/577