人生最大の夢に向けて、ひたむきにすべてを捧げる若きアスリートたちの肖像。
今月は車いすバスケットボール日本代表の将来を担うポイントガード、古澤拓也の素顔に迫る!
車いすバスケは、数あるパラスポーツの中でも特に競技人口やファンが多い"花形"競技といえる。それでいてコート上に立てるのは5人、ベンチ入りも12人。当然日本代表は狭き門だ。二分脊椎症という先天性疾患の影響で小学6年の頃から車いす生活を送る古澤拓也にとって、その車いすバスケで東京パラリンピックに出ることこそが情熱の源。
「競争の激しさは望むところといいますか。いいプレーをして、常にいい準備ができていれば代表に選ばれる、それができなければ選ばれない、そこが明確なので、わかりやすくやる気につながります」
ポジションはポイントガード。巧みなゲームコントロールと、ぐんぐん精度が高まる3ポイントシュートが古澤の持ち味だ。
「ゲームを組み立てる役割をこなしながら、ときには自らが攻撃的に攻めてチームにリズムをもたらす。強気のプレーと泥くさいプレー、エゴを出すときとそうでないとき。そういうバランスを大事にしながらプレーしています。とにかく今はバスケが楽しくてしょうがないです。うまくなれるならどれだけきつい練習も乗り越えられますし、試合に負けても悔しさでさらに燃えます。もう、バスケにとりつかれていますね(笑)。代表に欠かせない選手になるためにもっと自分に磨きをかけていきたいです」
代表とクラブでともにプレーする19歳の鳥海連志も、年齢が近いこともあり常に古澤のモチベーションをくすぐるライバルだという。
「一番身近な存在です。だからこそ、一緒に試合に勝って喜びを分かち合いたいけど1on1では絶対に負けたくないんです。むしろあいつが誰かに負けてるところを見るのも嫌なんです。勝つのは俺だから!って」
東京パラまで2年半。まるで"花道と流川"のような新世代2人がさらにお互いを高め合えば、日本のバスケが大きく変わるかもしれない。
【プロフィール】
古澤拓也さん
ふるさわ・たくや●1996年5月8日、神奈川県出身。中学1年時に車いすバスケットボールを始める。高校2年でU-23日本代表に選出され、2017年6月に開催されたU-23世界車いすバスケットボール選手権で主将としてベスト4進出に貢献し、注目される。現在はフル代表でも2020年東京パラリンピックに向けた主力候補として期待されている。全国屈指の強豪パラ神奈川SCに所属。ポジションはポイントガード。
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Photos:Teppei Hoshida Composition & Text:Kai Tokuhara