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2017.08.10 Sportiva
インタビュー 須崎勝己さん

【後編】1964年の日本代表選手は「パラ出場の自信で顔つきも変わった」

日本の障がい者スポーツの歴史を語るとき、1964年に行なわれた東京パラリンピックは欠かせない。当時の日本人が抱いていた“障がい者”のイメージを覆す外国人選手の活躍や、仕事をして結婚もしているという話は、出場していた日本人選手やその家族にとって衝撃的だった。

 

そういった影響を受け、障がい者スポーツを日本に広め、東京パラでは団長も務めた中村裕(ゆたか)医師も、翌年に「保護より働く機会を」を目標に掲げ、障がい者の人々に働く場所を提供する『太陽の家』を大分・別府に設立した。

 

当時、脊髄を損傷すれば寝たきりになるのは仕方のないことと思われていた時代に、中村医師のもとで脊髄損傷の治療やリハビリを受けていた須崎勝己さん(75歳)は、22歳のときに東京パラリンピックに出場した。そこで受けた数々の刺激を大分に持ち帰り、その経験を糧にして「しっかり働こう」と心に決めたという。

 

※インタビュアー:伊藤数子氏(NPO法人STAND代表)

 

伊藤数子氏(以下、伊藤) パラリンピックが終わって大分に戻り、就職をされました。義肢装具師という仕事を選んだのはなぜですか?

 

須崎勝己氏(以下、須崎) 選択肢がなかったんです(笑)。もともと職人気質でしたから、作ること、手を動かすことが好きだったのもあります。大工のときは親方の徒弟制度だったから、何もなかった時代でした。だから義肢装具師になってから給料5000〜6000円をもらえたときはうれしかったですよ、初めてでしたから。入院しているときの写真と、働いてからの写真は全然顔が違うんです。やっぱり自信が出てくるのか、顔が変わるんですよ。病院にいるときは、退院してから仕事はあるんだろうか、親に迷惑をかけたくないとか考えていました。寝たきりではなく仕事に就けたのも、中村先生のおかげだと思っています。

 

伊藤 職場には、ほかにも障がいのある方がいらっしゃったのでしょうか?

 

須崎 最初、私と車椅子の方々と3人で一緒に入ったのですが、ひとりまたひとりと辞めて最後は私だけになりました。

 

伊藤 その時代は障がいのある人の雇用は少なかったですから、別府義肢製作所はすごいですよね。

 

須崎 社長さん自身も障がいがあって、理解があったんですよね。それに報いないといけないと思って努力しました。

 

伊藤 その後、『太陽の家』でも働くようになったのですね。

 

須崎 パラリンピックが終わって、翌年の春に別府義肢製作所に就職しました。そのあとに『太陽の家』ができて、社長が中村先生のところに手伝いに行くということで、私も一緒に行くことになったんです。

 

伊藤 その『太陽の家』で働いていた方と結婚されたと聞きました。

 

須崎 そうですね。私の猛アタックで(笑)。でも、奥さんはかわいそうでした。田舎に帰ったときに、まったくの他人に「お前は障がい者の財産目当てなのか」と言われて泣いたんです。そんな時代でした。ただ、『太陽の家』にいた人たちも、そのあとに続々と結婚していったので、「よかったな」って妻と話をしました。

 

伊藤 ひとつ変わると、すべてがいい方に変わっていくのですね。

 

須崎 そうですね。パラリンピックが終わって、仕事ができたことが一番大きいかもしれない。

 

伊藤 お仕事は2015年まで続けていたんですよね。

 

須崎 そうです。辞めるって何度も言っていたんだけど、それでも呼ばれるので(笑)。

 

伊藤 一方でスポーツも続けていたのですか?

 

須崎 はい。ずっと続けていたのは車いすバスケで、大分国際マラソンができてからはマラソンも。

 

伊藤 何回くらい出場されたんですか?

 

須崎 まだ最初のハーフの頃で、3回くらい出たかな。

 

伊藤 成績はいかがでしたか?

 

須崎 あんまりよくなかった。レーサーっていう車椅子もその頃はなかったし、普通の車椅子で出場していました。レーサーは乗りたかったけど、難しかった。私ひとりでは乗れない、手伝いがないと難しいと思いあきらめました。

 

伊藤 バスケットは今もプレーされているんですか?

 

須崎 今はもうプレーはしていないです。チームには入っているので、忘年会とか遊びには行きますけど(笑)。今はボッチャとか、卓球バレーとか。たまにグラウンドゴルフもしています。

 

伊藤 今も、スポーツしていらっしゃってすごいですよね。

 

須崎 人数は足りないんですよね。今の若い人はあんまりやらんのかもしれないですね。あとは、障がい者も少なくなったのかもしれない。私の年代は、高度成長期で色んな事故も多かったですから。

 

伊藤 スポーツを続ける立場から、今の日本の障がい者スポーツのトップアスリートたちをどんな風に見ていますか?

 

須崎 やる気がありますよね。世界を見て、世界と戦おうっていう意志があって。それでやっぱり強くなりますよね。それに、時代とともに障がい者の立場も変わってきていることを感じます。

 

伊藤 2020年のパラリンピックは東京におでかけになりますか?

 

須崎 見たいことは見たいけど、4年後にそんな元気でいられるかどうか。もう明日の命も……(笑)。だんだん体力も落ちてきているから、誰か付き添いがいないと難しいかもしれないですね。

 

伊藤 2020年の開催地が東京に決まる瞬間は見ていらっしゃいましたか?

 

須崎 はい。また東京に来るんだなって。わしらのときとは違って、世界で1番になろうと選手たちががんばるだろうから、当時とは違う大会になるんだろうなと。

 

伊藤 では、東京パラを目指している選手たちに一言いただけますでしょうか。

 

須崎 勝つことだけにこだわらないで、自分の心の中の価値観を磨いてほしいですね。みんなが言うことだけどね。がんばってほしいです。スポーツを通して、立派な人になってほしいと思っています。

(おわり)

 

【インタビュアープロフィール】

伊藤数子(いとう かずこ)

新潟県出身。NPO法人STANDの代表理事。2020年に向けて始動した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」では顧問を務めている。現在、パラスポーツの競技大会のインターネット中継はもちろん、パラスポーツの楽しみ方や、魅力を伝えるウェブサイト「挑戦者たち」でも編集長として自らの考えや、選手たちの思いを発信している。

 

*本記事はweb Sportivaの掲載記事バックナンバーを配信したものです。


【Sportiva webサイト】

https://sportiva.shueisha.co.jp/

text by Sportiva  photo by Takefuji Koichi  Top Foto/AFLO

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