自分を守る手段だった水泳。

今は喜びを共有する手段

はる　今号からの連載、よろしくお願いします！　メイちゃんは子どもの頃から水泳が得意だったそうだけど、厳しい練習をしてまで世界を目指す目的って？

メイ　競泳を始めた頃はなめられたくないという思いが一番大きかったの。腕がないことで学校で悪口を言われたりスイミングスクールの入会を断られたりしたから、腕がある人よりも速いっていうことが自分にとって自信で。でも日本新記録を出しても周りの反応が全然よくなかった時に、パラスポーツの知名度の低さを感じて。価値を高めるにはメディアに出ないといけないし、メディアで取り上げてもらうには強くならなきゃいけないっていうところにたどり着いた感じ。

はる　今はCMに起用されたりしてるし、知名度も上がってきたと感じてる？

メイ　それはすごくある。でも実力が伴ってないとも感じていて。去年リオで初めてパラリンピックに出場して、完全に大会の空気に負けたし、あそこはメダルを取る場所やなって実感。東京では絶対にメダルを取って、いろんな人とその喜びをシェアしたいって思ってる！

はる　今回初めてメイちゃんの泳ぎを見たけど、スピードにビックリ！　ポジティブな人柄にも圧倒されちゃった。みんなにもすごさを知ってもらいたいな〜。

メイ　でもね、「応援してください」って言うのはあんまり好きじゃなくて。だって、応援はムリに頼むものじゃないでしょ。だからまずは1回見てもらいたい。それでおもしろいと思ったら応援してほしいし、「コイツまだまだやな」って思われたらもっと頑張らなって感じ（笑）。

はる　アハハ！　私は応援するよ！

メイ　ありがとう。はるちゃんに応援されたら男子にうらやましがられるわ（笑）。

※ノンノ10月号（8月19日発売）に掲載

【プロフィール】

一ノ瀬メイさん

1997年3月17日生まれ、京都府出身。先天性右前腕欠損症。1歳半から水泳を始め200m個人メドレー、100m平泳ぎなど5つの日本記録を保持。リオパラリンピックでは8種目に出場。現在、近畿大学の3回生。