東京パラリンピックに向けてセブンティーンは全力でスポーツを応援します! 今月の注目アスリートは、先天性右前腕欠損のため、人よりも右腕が短い水泳の一ノ瀬メイ選手。撮影したポートレート写真を見て「この写真、持ち味の腕がうつってない!」と笑顔をみせる、太陽のようにまぶしい彼女が話す、水泳への熱い想いを直撃!
【パラリンピック競技/水泳ってどんなスポーツ?】
泳ぐスピードを競う、水泳。パラリンピックの水泳では、障害の種類や程度と泳法によってクラスが分かれていて、クラスごとにレースを行う。一ノ瀬選手は自由形・背泳ぎ・バタフライの泳法を使う、S9クラス。観戦するときは、選手それぞれの体の特徴を生かした泳ぎ方の違いをみて!
高校生活でできた友達が今も私の宝物です
高校は一般入試で英文科に進学。もちろん、水泳を一番重視するかそれ以外を選ぶべきかは悩みました。体験入学をしたときに、自由でアットホームな雰囲気にひかれて、学校生活を楽しめそうな高校を選択。水泳だけで学校を選ばなかったおかげで、水泳仲間以外の友達がたくさんできました。一番仲良しのコは今、美容師になっていて。今でも会うと気持ちがリフレッシュする! 学校生活も、本当に楽しかったな。行事への熱がすごくて、ハロウィンはみんな仮装して登校。私も高1は黒猫、高3はジャスミンの仮装をしました。高2のときはアジア大会で参加できなかったのでくやしかった〜(笑)。水泳の強豪校に入ったのは、大学から。もっと早くそういう環境に身を置いていたら違ったかも、と思う場面はある。けど、ひとつひとつの選択がなかったら今の自分はないし、どこかで心が折れてたかもしれない。自分の選択はムダじゃなかったと誇れるよう、精いっぱい今を過ごしていくだけだなと思っています。
自分を守るのも、社会を変えるのも、水泳しかない
物心ついたころには、水泳は私の日常。生まれつき右腕が人よりも短い私は、同級生にからかわれることもあって。その状況から自分を守ってくれたのが、水泳。まわりから何と言われても、水泳の授業では私が一番速い。それが自信にもつながったし、水泳が大好きだから、違和感なく続けてこれた。けれど、高1のときにロンドンパラリンピックへの出場を、0.3秒の差で逃したときに、はじめて"なんで水泳を続けてるんやろう"って考えました。そもそも中2のときアジア大会で2位をとって以降、誰も私の体をからかってこないんです。"自分を守る"という意味での水泳は、その時点で十分。だからこそ"それ以上をなぜ目指すのか"という壁に出合ってしまった。でも"からかわれない"ということは、私の中で解決しただけ。社会全体でみると偏見はまだまだある。それをなくしていく方法が、私には水泳しかないと気づきました。この体で成績を残して、発信していくことが重要。あとは、やるからには極めたいというシンプルな想いに、高1の1年間をかけて辿たどりつけました。あの1年間がなかったら、うまくいくのが当たり前になって調子にのっていたんじゃないかな(笑)。
【無敵のハッピーさには歴史あり!? 思い出エピソード♡】
話す言葉のひとつひとつが、パワーに満ちている一ノ瀬選手。その秘密は過去にあり!
最高すぎた高校生活
「高3のときに英語スピーチコンテストで全国優勝。中庭でみんながお祝いしてくれました。あったかくて最高な高校!」
幼少のころの水泳大会
「やった分だけ結果が出るので、水泳が楽しかった。ただ両親はほどよく応援スタイル。落ち込むと"水泳以外もある"と言ってくれるのが、私にはありがたかった」
STモデル&読者からの質問にお答え♡
一ノ瀬選手に聞いてみた!
Q.タイムをあげるためにやるべきことは?(るり・高2)
A.「自分の泳ぎを知ること。泳いだ動画を見ることもだし、生活習慣を知ることも。その中で"あ、このとき調子いいな。これはやめてたほうがいいねんな"とか分かってくるので」
Q.好きなタイプを教えてください!(高橋アリス・STモデル)
A.「なんだかテレる質問ですね(笑)。うーん、友達にも彼氏にもなれるような人。バカ笑いもできるし、真剣な話もできるし……みたいな。居心地いい関係を築きたいです」
【プロフィール】
一ノ瀬メイさん
いちのせ・めい●1997年3月17日生まれ、京都府出身。近畿大学所属の競泳選手。2019年からは練習の拠点をオーストラリアにうつす。中2のときに、アジアパラ競技大会に出場し史上最年少で銀メダルを獲得。
【公式Instagram】@mei_ichinose
【ST channel】
撮影/角守裕二 文/上村祐子