通達を受けた3人はそれぞれモチベーション高く、熾烈な代表争いに再度挑んでいる。
Bチームのセンターで守備の要を担った浦田理恵(アソウ・ヒューマニーセンター)は4大会連続出場を目指す、ベテランの一人。「日本の強みであるディフェンス部分をしっかり発揮できなかった」と課題を口にした上で、「パラは世界一を取りに行く大会。直近で一番いい選手で構成されるべきだし、チームとしても共通認識。私自身はチーム勝利のために、どれだけ力を発揮できるかに集中している。若手の成長にはいい刺激をもらっている」と代表争いについて前向きに語った。
ライトとレフト両方で起用された小宮は過去4大会のパラリンピアンで、金・銅のメダリスト。「本来はディフェンスも自信があるが、今回は見せられずに反省。しっかり押さえてから移動攻撃で点を取るのが私の役割。(ライトもレフトも)どこでもできることを強みにしたい」
Aチームの若きセンター、高橋利恵子(筑波大大学院)は浦田とポジションが重なる。「浦田さんは大ベテランのいい先輩で、いろいろ教わっている。センターとして高めあって、日本チームを引っ張っていけたら」と切磋琢磨による成長を誓った。
昨年は“次点”となり内定を逃した、Aチームのライト、萩原紀佳(国立障害者リハビリテーションセンター)は後半から出場したTsukuba-tech戦の初球でゴールを決めるなど、持ち味の攻撃力でアピールした。「自分の自信あるコースで勝負しようと思った。決まって嬉しかった。東京パラに少しでもチャンスがあるなら、積極的に取り組んでいきたい」と意欲を見せた。
今大会には学業優先のため出場していない男子の金子和也と女子の若杉遥も加え、現時点では男女とも内定資格は維持されているが、今大会の結果と今後の合宿などで再検討し、今夏に向けた最終的な内定選手男女各6名を4月中には確定させる意向だ。
回転投げを武器とするレフトの欠端は、「今までやってきた練習はしっかり発揮できたと思うが、押せている中でのもう一歩が足りないし、自分がいい状態の時に、チームをひっぱる力も身につけたい」とエースの自覚を強めていた。
今大会の結果は、東京パラへの展望としては男女で明暗が分かれたが、まだ半年ある。視覚を閉ざして行うゴールボールは選手間のコミュニケーションやチームワークもカギとなる。欠端は、「(長期合宿で)一緒に暮らしながらトレーニングができて、ゲーム中の短い時間でもコミュニケーションがよく取れるようになったし、(仲間が)何をやっているか分かりやすくなり、より緻密にできるようになった」と共に過ごす時間の効果を口にする。
天摩主将もきっぱりと話す。「これまでと変わることなく、金メダルの獲得に向けてやっていくだけ。これまで数カ月かけて積み上げてきたが、仕上がり具合はこれから。まだまだこのチームは強くなる」
<大会アーカイブ動画YouTube>
▼2021 ジャパンパラ ゴールボール競技大会 初日(2/6)
第1試合 女子日本代表A vs 女子日本代表B
第2試合 男子日本代表A vs 男子日本代表B
▼同 2日目(2/7)
第1試合 男子クラブチーム vs 女子日本代表A
第2試合 男子日本代表A vs 男子日本代表B
第3試合 男子クラブチーム vs 女子日本代表B
星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto