パラスポーツの9つの競技団体が合同でマーケティング活動を行うプロジェクト「P.UNITED(ピー・ユナイテッド)」を立ち上げ、8月21日に都内で記者会見を開いた。
代表を務める田中辰美・日本パラ射撃連盟常務理事は、「東京2020パラリンピックでパラスポーツの理解は進んだが、共生社会の実現はまだ道半ばだと考えている。規模が小さい競技団体は資金不足とそれに伴う人材不足のため、単独の力では(マーケティング活動は)難しいという共通の課題があった」と、合同プロジェクト立ち上げの背景に触れ、喫緊の取り組みを模索するなかで、「日本財団パラスポーツサポートセンターから競技団体が主体的に取り組む新しいプロジェクトの挑戦への提案があり、最終的に9団体で実行していくことになった」と経緯を説明。
活動を通して、各競技の認知向上やアスリートの練習環境、財政面といったさまざまな課題に対して、団体ごとの経験や知恵を共有することで解決することが狙い。これからパートナー企業を募り、活動を本格化していく。
参加したのは、日本車いすカーリング協会、障害者カヌー協会(大会中のため会見は不参加)、日本障がい者乗馬協会、日本パラ射撃連盟、日本身体障害者アーチェリー連盟、日本知的障害者水泳連盟、日本知的障がい者卓球連盟、日本パラ・パワーリフティング連盟、日本パラフェンシング協会。
今後の活動については、共生社会の実現を目指す企業などパートナーに向けて、複数団体によるパラスポーツ体験会や講演会といったサポートプログラムを充実させる予定だ。また、アスリート同士の交流やクロストレーニングの機会を積極的に提供していくとしている。会見に登壇した東京2020パラリンピックのパラフェンシング日本代表の加納慎太郎は、「9つの団体が横につながることで、自分の知見や交友関係を広げて競技力向上につなげたい」と、アスリートの立場で期待を語った。
プロジェクト名「P.UNITED」の「P」は、Positive、Powerなどの頭文字から取った。また、9団体の力や知恵、経験をあわせていくことをイメージしたロゴマークは、東京2020大会のエンブレムデザイナーである美術家の野老朝雄氏が制作した。
写真・ 文/荒木美晴