4年に一度のアジアのパラスポーツの祭典「第4回 アジアパラ競技大会」が22日、杭州で開幕した。競技初日の23日には、パラパワーリフティングの男子49㎏級が行われ、日本記録保持者の西崎哲男(乃村工藝社)が130キロを挙げ、8位に入った。
パラパワーリフティングは、下肢に障がいがある選手によるベンチプレス。各選手が3回ずつ試技を行い、1キロでも重い重量の記録に挑戦していく。男女別、階級別に分かれて順位を競うもので、中国を筆頭にアジアの競技レベルが高い。
男子49㎏級は、男子10階級のうち最軽量の階級だ。西崎は前回のジャカルタ大会は男子54㎏級で4位の成績を残している。東京2020パラリンピックを目指すなかで階級を変更し、現在は49㎏級を主戦場としている。
ベンチプレス台が置かれたステージが煌びやかな光に包まれるなか選手が入場。西崎は第1試技で123キロを軽々と挙上。第2試技は5キロ増やして130キロに挑戦し、荒川龍一コーチの「いけ、いけ、いけー!」という大きな掛け声を力に挙げきった。そして、第3試技は135キロを予定していたが、記録を競っていたトルクメニスタンの選手らライバルに勝つための駆け引きで、西崎は重量申告を134キロに修正。その最終試技はバーベルを持ち上げる途中で少し詰まったと判定され、赤旗が2枚上がってしまった。記録は130キロ、全体の8位という結果に終わった。
139キロの日本記録ホルダーの西崎にとっては少し物足りない数字かもしれないが、西崎は「これが今の力。ギリギリ押せる重量だった」と話し、荒川コーチも「現状でできる最大限のことはできたと思う」と振り返る。昨年冬に右肩を痛め、痛みを抱えながらトレーニングを重ねてきたという西崎。違和感が和らいだのは2~3週間前のことで、今回のアジアパラはその回復途中で迎えていた。「重量を下げて失敗してしまったけれど、途中でつぶれずに最後まで押し切れたのは、次につながる」と西崎。次の大会は12月の全日本選手権を予定しており、「そこでは最低でも自己ベストの140キロを狙いたい」と話し、前を向いた。
また、同階級には東京2020パラリンピック9位の三浦浩(東京ビッグサイト)もエントリー。他の選手の欠場に伴い、急遽代表に召集されたこともあり、113キロからスタート。第2試技で116キロに成功したが、第3試技は120キロに失敗した。これまで同階級のライバルとして数々の名勝負を繰り広げている西崎と三浦。西崎は「三浦さんは競技歴も長いし、試合運びも上手。勉強になることがたくさんある。僕が失敗したら三浦さんが勝つこともよくあるので、今回はその緊張感を持ちながら臨めた。これからも負けないように頑張りたい」と、言葉に力を込めた。
写真/植原義晴 ・ 文/荒木美晴