————古澤選手には今回の元旦広告で、50周年を迎える週刊少年ジャンプの代表的キャラクター「ルフィ」や「孫悟空」とも並んでいただきました。そのあたりの感想からお聞かせください。
とても光栄に思います。自分自身ワンピースやドラゴンボールは子供の頃からずっと読んできたマンガですので、そのキャラクターと並ぶというのはとても不思議というか、うれしい反面、少し荷が重いですね(笑)。
————それこそ、バスケマンガは読みますか?
もちろんです! 「スラムダンク」は大好きですし、「リアル」や「黒子のバスケ」も愛読させていただいていました。ちなみにスラムダンクで一番好きなキャラクターは海南大付属の3ポイントシューター神宗一郎です。それと、自分のポジションがポイントガードということもあって翔陽の藤真健司にも影響を受けました。試合中に彼らのようなかっこいいコメントはできませんけれど(笑)。
————古澤選手のプレイヤーとしての一番の強みはなんですか?
ドリブルなどのボールを扱うスキルには自信を持っていますし、最近では3ポイントシュートも武器にしています。よく「車いすに乗りながらの3ポイントは難しいですよね」と言われるのですが、僕にとってはバスケットボール自体が車いすになってから出会ったスポーツですので難しいという感覚はないんです。
————当然日本代表に選ばれるためにはバスケの技術だけじゃなく車いすの操作技術も問われますよね。
はい。ただバスケがうまいだけでは代表にはなれません。健常の選手たちがしっかり走り込みをするのと同じで、僕らは日々、チェアスキルを上げる努力をしています。とくに今の日本代表は攻守の切り替えの速さに重きを置いた「トランジションバスケ」に力を入れているので、よりそのあたりが求められます。
————2020年のパラリンピックを機により多くの人たちが車いすバスケに注目すると思いますが、どういったところをアピールしていきたいですか?
金属同士がぶつかる音や、接触プレー時の迫力、チェアワークのスピード感など、通常のバスケとは違った魅力がありますし、初めて観て「イメージと全然違った」と言ってくれる人も多いんです。東京パラリンピックでいいプレーをたくさん見せて、車いすバスケがやりたいと思う子供たちが増えるとうれしいです。
————本大会まで約2年半。ここからのプロセスの中で、2018年をどのような年にしたいですか?
リオが終わってから今に至るまではかなりいい感じにステップアップできていると思いますので、今年もその調子でチェアスキル、シュートスキル、フィジカルとあらゆる面でレベルを高めていきたいですね。
————2018年から2019年、そして2020年と、競技人生においてとても大事な2年半になりそうですね。
そうですね。子供の頃に、友人たちが「車いすもかっこいいじゃん」と言ってくれたのがきっかけで前を向いてスポーツをするようになり、今では車いすバスケで母国開催のパラリンピックに出られるかもしれないところまできました。そういう意味では競技人生の集大成とも言えるのでがんばりたいですね。ただ、一番の目標はパラリンピックに出ることではなくて「世界一のポイントガード」になること。東京パラリンピックをターニングポイントに、いろんな国の人から「世界で一番うまいポイントガードは古澤」と認めてもらえるような選手になりたいですね。そのためにもメダルを獲れるようにがんばります!
PROFILE
ふるさわ たくや●1996年生まれ、神奈川県出身。先天性の二分脊髄によって小学6年時に車いす生活に。中学1年から車いすバスケットボールを始め、高校2年時からU-23日本代表に選出。2017年6月に開催されたU-23世界車いすバスケットボール選手権ではキャプテンとしてチームのベスト4進出に貢献。