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2025.05.28 パラ陸上 福永凌太 川上秀太 日本パラ陸上競技選手権大会 辻沙絵 兎澤朋美 堀玲那 パラ陸上競技 小松沙季 伊藤智也 中川もえ 田巻佑真
第36回日本パラ陸上競技選手権大会

パラ陸上日本一決定戦、好記録に沸く! ベテランも次世代も躍動し記録ラッシュに

4月26日から27日にかけて、パラ陸上の日本一を決める、「日本パラ陸上競技選手権大会」が愛媛県松山市のニンジニアスタジアムで行われ、約250選手が出場した。冬シーズンが明け、多くの選手にとっては本格的な競技会シーズンの幕開けとなったが、今年は9月にインド・ニューデリーで開催予定の世界選手権の代表選考会の一つでもあり、好記録も多数生まれた。好天に恵まれた初日はアジア記録2、日本記録12、大会記録17が新たに生まれ、風に翻弄された2日目は追い風参考記録も多かったが、それでもアジア新1、日本新11、大会新19が樹立された。

今季初戦で、走り幅跳びと100mでアジア新をマークした兎澤朋美

そのうち、アジア新を2つ樹立したのが、東京2020、パリ2024パラリンピック代表の兎澤朋美(T63・片大腿義足/富士通)だ。100mで15秒55をマークし約4年ぶりに、走り幅跳びでは4m88(+1.5)を跳び3年ぶりに、自身の記録を伸ばした。

 

今季初戦での好結果に、100mについては、「やっと更新できてホッとした。(練習の)方向性は間違っていないと確認できた」と話した。走り幅跳びについては追い風参考記録ながら3回目には4m96(+3.5)もマークし、ここ数年目標に掲げている5m越えが、「今日、すごく具体的に現実的になったなと、1つ手応えは得られた。いい流れのまま今シーズン走り抜けられるようにしたい」と笑顔でしかし、力強く言い切った。

 

もう一つのアジア新はロサンゼルス2028パラリンピック出場を目指す堀玲那(F20・知的障害/WORLD-AC)が砲丸投げで2投目にマークした12m81だ。自身の持つアジア記録を約2年ぶりに34㎝更新し、「本当にホッとした」と笑顔を見せた。今年4月から心機一転、岡山市のパラ陸上実業団、World-ACに加入した。その初戦での好結果に、「チームの一員として自己ベストを出せたことは本当に嬉しい」と、さらなる活躍を誓った。

 

注目のライバル対決、憧れの選手と対戦も

男子視覚障害クラスのスプリント種目ではパラリンピックメダリスト同士の好レースが見られた。なかでも、3種目に出場して存在感を放ったのが、パリ2024大会男子100m銅の川上秀太(T13・弱視/アスピカ)だ。「冬季間のロング系のメニューの成果確認のため」出場したという400mは第一人者でパリ大会400m銀の福永凌太(日体大)に敗れ2位だったが、100m、200mは優勝。100mでは追い風参考記録で10秒64(+2.6)だったが、「追い風2.6mなら、10秒5台には乗せたかった」と振り返った。課題とするスタートは、「うまくいけた」が、30mから60mの2次加速の走りは「まだ弱い。その強化がこれから必要」と話す。「今季はまず、自己ベストとなる10秒5台をマークし、10月のインド世界選手権では、パリ大会で敗れた海外勢との差がどれだけ埋められているか、確かめたい」と前を見据えた。

川上秀太はスプリント3種目に出場し、冬季練習の成果と今後の課題を確認

福永は400mで優勝したが、自己ベストには1.5秒以上及ばない49秒31だった。3月に体調を崩したと明かし、「走り込み不足感はちょっと否めず、不安があったので、(タイムは)こんなものかなという感じ。ただ、川上くんなどと競えたので、すごく楽しめた」と振り返った。「ここから修正して、ベースの部分から上げていきたい。世界選手権ではメダルを狙っていきたい」と話した。

 

福永は今季から自転車競技にも挑んでいる。「シンプルにやってみたいと思った」ことがきっかけだというが、「やってみたら、ある程度のところまでいけるだろうという確信もあった」と話す。フィジカル強化の相乗効果もあり、ロサンゼルス2028大会では、「2競技でメダルを取れるように頑張りたい」と目標を口にした。

 

女子T47(上肢障害)100mではアジアユースパラ競技大会連覇などの実績をもつ中川もえ(西池AC)がパラリンピアンで日本記録(12秒69)保持者の辻沙絵(Ossur Japan)を抑え、優勝した。好スタートを切り、課題とする後半の失速もなく走り抜け、追い風参考ながら12秒47(+3.3)をマークした。「辻さんに勝つことを目標として挑んだが、レース中は自分の走りにだけ集中できた」。辻に勝ったのは初めてで、「私にとっての壁だったが、今日、久しぶりに一緒に走らせていただき勝てたのは嬉しいし、自信につながる」と声を弾ませた。

「憧れの選手」という辻沙絵(中央)に競り勝った中川もえ(右)は「自信につながる」と笑顔を見せた

中川は小学校でリレーの選手に選ばれたことが嬉しくて5年生から陸上クラブに入った。中学生からパラ陸上の大会にも出場するようになったが、そのきっかけはリオ2016大会を目指す辻を紹介した新聞記事だった。その後、2017年にはアジアユースパラ競技大会で金メダルを獲得するなど活躍。辻は今も中川にとって、「憧れの選手というのは変わらない」というが、4月中旬には200mで辻の日本記録を0秒25更新する26秒26をマークするなど着実に近づいている。

 

中川は現在、看護師を目指す大学生でもある。陸上を始めてから、自身がケガをしたり、さまざまな障害アスリートと知り合うなかで、「いつかサポートする側になりたい」という夢が生まれ、なかでも看護師は患者の一番近くで精神的にも支えられる職業だとひかれたという。学業と競技の両立は「正直ものすごく大変」と明かすが、限られた時間で集中しなければならない分、「練習の質が上がり、今季のタイムにもつながっているのかな」と充実の表情で語った。今季は自己記録更新を目標とし、3年後のロサンゼルス2028大会出場を狙っていきたいとプランを話した。

 

敗れた辻は、「もえちゃんがいいタイムで走ってくれて、新旧交代だなって思ったし、次の世代が育ってくるというのはすごく嬉しかった」と笑顔で振り返り、「私も自己ベストくらいで走れたので、悪くないシーズンイン」とうなずいた。パリ2024大会後に専門だった400mからの引退を表明。今季はまず、100mや200mで自己記録更新を目指すとともに、昨年10月に入社した義肢装具メーカー「オズール・ジャパン」での仕事、「障害のある子どもたちのサポート」にも力を入れていきたいと新たな目標も話した。

 

ベテランも若手も、次を見据えた新たな一歩

2004年からパラリンピック5大会出場のベテラン、伊藤智也(バイエル薬品)は5種目に出場し、変わらぬ闘志と実力を示した。昨年12月に両肩の腱板を手術し、トラックでの練習は4月中旬からというリハビリの途中だが、「勝負勘を戻したい」と種目ごとにテーマを設定して挑んでいた。100m、200mはスタート、400m、800mは高速の維持、1500mは日本記録保持者、佐藤友祈(モリサワ)の巡航速度に対応できるピッチを探ること。それぞれほぼ達成し、「上出来」と笑顔で振り返った。

 

昨年のパリ2024大会では400m銅、100m7位の結果を残したが、実は「激痛」をおしてのレースだったと明かす。車いす選手にとっては肝である両肩を手術したことで、鍛えあげてきた身体は「完全リセット」されたが、一から作り直す覚悟だという。今年8月には62歳になるそうで、トレーニングによる筋肉痛とも戦いながらの毎日だが、「楽しいから頑張りたい」し、実際、自己記録も年々、伸びている。今大会は2日で5種目を走り切ったが、「肩は大丈夫。そこそこ上がってきつつあるのかな」と手応えも得た。今季はインドの世界選手権を目標に、「代表に選ばれたら、メダルを目指していきたい」と意気込む。

 

若手や次世代選手も今後が楽しみな結果を残した。例えば、昨年の神戸世界選手権200m代表の田巻佑真(アシックス)は男子T64(片下腿義足)で自身初の三冠という快挙を達成した。100mは自己新の11秒56(+1.7)で、200mは23秒78(+2.6)で制し、走り幅跳びは日本記録(6m73)をもつ又吉康斗(ゼンリンDC)を上回る6m58 (+2.7)で大会記録も樹立した。実は走り幅跳びは今季から本格的に試合参戦を始めたばかり。幅跳び用の義足もようやく届き、2戦目となった今大会が「ぶっつけ本番」だったという。「跳び方もよく分かっていない。まだまだ、これから」だが、「自信にはなった」。今季は自身2回目となる世界選手権代表を目指しており、メインとする200mでは井谷俊介(SMBC日興)がもつ日本記録(22秒99)の更新など、さらなる飛躍を期す。

 

女子やり投げでは期待の新星が現れた。F54(座位)の小松沙季(電通デジタル)で、実はパラカヌーで東京2020、パリ2024の日本代表として活躍後、この4月からパラ陸上に完全転向。今大会が初の実戦で、1投目に投げた14m66が優勝記録となった。「初めてなので、全部が勉強でした」と控え目に話したが、日本パラ陸上競技連盟の強化指定B選手の基準記録13m87も越え、世界に近づく一投をしるした。

パラカヌーから転向後の初戦で好記録で優勝し、さらなる可能性を示した小松沙季

現在、30歳の小松は元々、Vリーグで活躍したバレーボール選手で、引退後に体調を崩した影響で車いす生活になった。パラカヌーと出合った半年後に、東京2020に出場するなど身体能力は高い。パリ2024大会でも代表に選ばれたが、レース直前に体調不良でドクターストップが出されて棄権。無念の思いから心機一転、新たな競技を探すなかで出合ったのが、やり投げだった。

 

まだ、練習や指導体制も整っていないというが、長年高いレベルで競技生活を送ってきたメンタルや地肩も含めたフィジカルなど、やり投げ選手として必要な「強さ」を持ち合わせている小松。課題は「やりを離すタイミングの習得」だ。頭の上辺りが基本だが、バレーボール時代のくせでリリースが遅れがちだと明かす。とはいえ、練習では16mを越えることもあるそうで、伸びしろは計り知れない。ちなみに、パリ2024の銅メダル記録は16m24で、小松は「ロサンゼルスではメダルを目指すだけ」と力を込める。新たな挑戦を楽しみながら、一投一投に気持ちを乗せていく。

 

写真・吉村もと/文・星野恭子

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