2年後に迫った夢の舞台に向けて、自分のすべてを捧げる若きアスリートたち。
今月は、パラカヌーに惜しみない情熱を注ぐ20歳のポジティブガールにフォーカス!
瀬立モニカは高校の頃に車いす生活になったことで「パラカヌー」と出会った。そして20歳になった現在、彼女は自身が生まれ育った街で2年後に開催されるパラリンピックをめざし充実した日々を送っている。
「けがをする前、中学時代にカヌーをやっていたのですが、振り返ってみると脚が自由なときにもっと真剣に競技と向き合っていれば今もっと強かったかも! って少し後悔することもあります(笑)」
その言葉からもわかるように彼女はとにかく明るい。そして自分を高めるチャレンジのためなら何でもスパッと決断する。この春に大学を休学したのも、東京パラリンピックに向けて競技一本に集中するためだ。
「迷いはなかったです。大学は体育の分野なので学んだことを競技に生かせますし、自分で研究もできます。そのメリットをいったんなくしてカヌー一本に絞ることが本当にプラスなのか、疑問に思うことはありますけれど、来年の今頃に休学する、では遅いのでとにかくやってみようと」
2年前の経験も、彼女を芯の強いアスリートへと成長させた要因だ。
「リオのときはまだアスリートになりきれてなかったなぁって。トレーニングもどこか受け身でした。でも今はコーチに練習方法を提案したり、メカニック面でも積極的に自分の意見を言えるようになるなど取り組む姿勢が変わりましたし、人間としても成長できていると実感します」
国際大会や合宿などで国内外を飛び回るハードな生活も夢のためなら苦にならない。将来は医療の道に進み、自身と同じような境遇の人々にスポーツのすばらしさを伝えたいという彼女。ひたむきな挑戦は続く。
「パラリンピックの代表選考会が来年始まるので、みっちり強化できるのはこの2018年だけ。まさに勝負の年です。東京でパラリンピックに出られるチャンスなんて人生で1回だけ。やるしかないですよね!」
【プロフィール】
瀬立モニカさん
せりゅう・もにか●1997年11月17日、東京都出身。中学2年からカヌーで国体をめざす中、高校1年時に体育授業中の転倒によって体幹機能障害となり車いす生活に。退院後2014年にパラカヌーを始め、2015年の世界選手権で決勝進出。2016年リオデジャネイロパラリンピックでは8位に入賞。東京パラリンピックを見据え、4月から筑波大学体育専門学群を休学し、ここからの2年は競技一本に専念することを決意。
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Photo, Composition & Text:Kai Tokuhara