藤澤 初代Bリーグ王座を狙うアルバルクはどうですか?
田中 今シーズンは6人の新しい選手が入ったので、まだまだ手探り。昨シーズンまでの完成されたチームとは違って、シーズンを通して成長しようというチームですね。
藤澤 えっ、優勝候補なのにですか!?
田中 伊藤ヘッドコーチは「まだ3割4割しか完成していない」と(笑)。
藤澤 現時点でも強いチームがゲームをこなす中で熟成されてさらに強くなっていく。今シーズンのアルバルクはチームとしての成長を見る楽しみもありそうですね。そういえば、伊藤HCの指示がすべて英語だというのはホントですか?
田中 そうなんです。伊藤HCはずっとアメリカにいたので、感覚はアメリカン。日本人の伊藤HCの話す英語を日本人ではない通訳の方が日本語に直すという、不思議な感じのコミュニケーション(笑)。
藤澤 僕らもリオで日本代表を率いた及川晋平HCが、アメリカでコーチングを学んだ人なんで、ミーティングではかなり英語が飛び交いました。配布される資料もタイトルやキーワードなんかは英語が多いので、わかんない単語はあとでこっそりネットで調べる(笑)。
田中 チームには英語を話す外国人選手もいるので、英語が上達するんじゃないかって思ったんですけど、実際はそうでもなかった(笑)。バスケ用語はだいたいわかるので、コート上の指示は理解できるんですが、自分の意思を伝えるのが難しい。
藤澤 外国のチームと対戦すると、日本人は英語がわからないと思われているのか、汚い言葉を言われたりしますよね。
田中 しますね。さすがにそれぐらいわかるよって(笑)。でも彼らは日常会話の中でも普通にその言葉を使ってたりもしますからね。
藤澤 ゲーム中に興奮してると、腹が立つことはありません?田中選手は言い返したりはしませんか?
田中 いやいやいや……(笑)。
藤澤 僕は同じ言葉を言い返しちゃいますよ。相手が聞き取れないくらいの小声でなんですけど(笑)。
(「語ろう、バスケのこと③」に続く)
【プロフィール】
藤澤潔さん
ふじさわ・きよし●1986年7月26日、長野県出身。埼玉ライオンズ所属。ポジション:シューティングガード。2005年世界ジュニア準優勝の黄金世代のひとり。安定したシュートとディフェンス、そしてヘアスタイルは何があっても乱れない。
田中大貴さん
たなか・だいき●1991年9月3日、長崎県出身。アルバルク東京所属。ポジション:シューティングガード。東海大時代はMVPを始めとする数々のタイトルを獲得。Bリーグ初代王者を目指すアルバルクの顔。オールラウンダーが魅力。
『リアル×リオオリンピック~井上雄彦、熱狂のリオへ~』(集英社)より転載
【詳細はこちら】
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-780806-3&mode=1
撮影/細野晋司