アルゼンチンに0-2で敗れたが、過去最高位の準優勝を果たしたブラインドサッカー日本代表。中央は佐々木ロベルト泉、右は川村怜キャプテン。©️JBFA/H.Wanibe
ブラインドサッカーの国際公式戦、「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ2021 in 品川」が5月30日から6月5日にかけて東京の品川区立天王洲公園で開催された。昨年はコロナ禍で中止され、2年ぶり3回目の開催となった今年は、東京パラリンピックに出場を決めている8カ国中5カ国が参加。世界ランク12位の日本は初めて決勝に進出し、同1位のアルゼンチンに0-2で敗れたが、過去最高位の準優勝を果たした。アルゼンチンが3連覇を果たし、スペインが3位(同3位)、タイ(同13位)が4位、フランス(同14位)が5位だった。
日本は5カ国総当たりのグループリーグではフランスとタイにそれぞれ1-0で勝利し、スペインには1-1、アルゼンチンには0-0で引き分け、通算2勝2分(勝ち点8)で2位通過。決勝戦では3勝1分で1位通過したアルゼンチンと熱戦を展開し、確かな進化を世界にアピールした。
高田敏志監督はアルゼンチンとの決勝戦を、「東京パラリンピック本番につながるように、どういう仕掛けをしたらどうなるか、試した部分もあった。悔しいというよりは惜しい。というか、もったいないゲームだった」と振り返った。
試合序盤は主導権をつかもうと両チームが一進一退の展開を見せたが、前半9分、試合が動く。アルゼンチンのエース、マキシミリアーノ・アントニオ・エスピニージョが左サイドをドリブルで持ち込み、カットイン。右足から放たれたボールが日本のゴール右隅に突きささり、先制。日本も黒田智成ら攻撃陣が果敢に攻めたが、アルゼンチンの堅い守備に阻まれた。
逆に前半15分、再びエスピニージョがサイドフェンス際の攻防からこぼれ球を拾うと、ドリブルで運び、先制点と似たようなコースに2点目を決めた。後半に入って、日本も何度かチャンスを作ったが、最後までゴールネットを揺らすことはできなかった。
高田監督は、「守備のコンパクトさが、あの2回だけだったと思うが、一瞬ほころんだ瞬間をつかれた。さすがランク1位。攻撃の哲学を彼らは持っていて、それを貫いてやられた」と話し、「攻略する方法、狙っているところは間違っていないことがわかった。また研究して、選手と一緒に練習していきたい」と前を向いた。
大会初戦の開始1分で決勝点を挙げ、快進撃の起点となった川村怜キャプテンは、「事前にコーチから分析情報を得て、守備は分析通りにコミュニケーションをとり、ポジションをとりながら、できた。決勝ではバランスが崩れた一瞬をとらえられて2失点したが、相手の強度も含め、想定内の中で試合ができた」と手ごたえを語るとともに、「体を張って、どの国相手でもタフな戦いはできたが、もっとゴール前に進入して、最後に打ち切れるところまで精度を上げることが、これからの課題」とさらなる成長を誓った。
【日本ブラインドサッカー協会公式YouTubeチャンネル】
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星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko