【#2 鈴木亜弥子(SU5/上肢障がい)】
宿命のライバルを撃破し初代女王へ
健常の全国大会で準優勝した実績を持つ鈴木亜弥子は、一時は現役を引退。しかし、東京パラリンピックでバドミントンが正式競技として採用されたのを機に、競技に復帰した。そのため、東京パラリンピックでの金メダル獲得に並々ならぬ思いを抱いている。
唯一で最大のライバルは、世界ランキング1位のヤン・チウシャ(中国)。お互いに公式戦でただ一人土をつけられた相手同士でもあり、金メダル争いは2人の一騎打ちとなることが予想される。
これまでの対戦成績は、ヤン・チウシャの5勝3敗。19年8月の世界選手権では、鈴木が第1セットを先取したが、そこから2セットを連取されて逆転負けを喫した。しかし、同年11月に日本で開催された国際大会では、鈴木がストレート勝ちをしている。とはいえ、21-19、22-20という激戦。両者の実力は拮抗しており、東京パラリンピックでも息詰まる熱戦が繰り広げられそうだ。
鈴木の強みは、コースの打ち分けだ。昔、健常者に勝つために相手にとって嫌な場所に打てる技術を磨いてきたことが生かされている。さらに強化してきたフットワークを使った粘り強い守備も持ち味。最後まで諦めないメンタルの強さで初代女王の座を射止める。
<すずき・あやこ>
1987年3月14日、埼玉県生まれ。七十七銀行所属。右腕が肩から上に上がらない先天的な障がいがある。両親や姉もバドミントン選手というバドミントン一家に生まれ、小学3年の時に自身も競技を始めた。中学時代には関東大会で女子ダブルス優勝。高校では団体戦でインターハイに出場。3年時には全日本ジュニア選手権で女子ダブルス準優勝など数々の実績を持つ。大学3年からはパラバドミントンの大会にも出場。一時は引退したが、15年に競技に復帰し、東京パラリンピックでの金メダルを目指してきた。
写真/越智貴雄[カンパラプレス] 文/斎藤寿子