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リオデジャネイロ2016パラリンピックにパラアーチェリーで出場した上山友裕選手。 現在は「東京2020」出場を目指している期待のトップアスリートに、競技の魅力、 そしてパラリンピックへの熱い想いをうかがいました。
「アーチェリーと出合えたのは本当に奇跡だったと思います」 ───上山
上山 はじめまして。実は僕、お会いすることが決まってから『仮面ライダードライブ』を息子とずっと観てたんです。だから今、すごく感動(笑)。
内田 わ、ありがとうございます(笑)。上山選手は大学からアーチェリーを始められたんですよね。なかなか出合わない競技だと思いますが。
上山 高校の時にたまたま隣の席だった黒田くんっていう子に、「大学行ったら一緒にアーチェリーやらへんか」って誘われたんです。
内田 え、たまたまですか? すごい! 黒田くんに感謝!!(笑)。
上山 で、大学に入ってアーチェリー部に体験に行ったら、担当してくれた先輩が美人で(笑)。その方が僕の姿を見て「絶対センスあるよ」って言ってくれて。今も、本当に奇跡的な出合いだったと思っています。
「離れていたのにアーチェリーが追いかけてくる……。運命ですね!」 ───内田
上山 大学時代は1年生からレギュラーになれるくらい自分でもセンスがあったと思うんですが、 2年目から伸び悩んでしまって。卒業後に一度やめたんです。ただ、入社した会社にアーチェリー同好会があって再開。その頃、徐々に先天的な足の麻痺が出て歩きにくくなったので、パラアーチェリーの大会にも出場するようになりました。より上を目指すためにJOCの「アスナビ制度」で三菱電機に入社し、競技中心の生活を送っています。
内田 離れてもアーチェリーが追いかけてくる感じ。すごい運命ですね。
上山 周りからは「絶対日本代表になれるよ」って言われてたんですけど、1年目の時に出場した国内の2大大会では銀メダルと銅メダルに。「うわ、1位になられへんかった」って悔しくて。次は絶対勝ったろうと思って、やっと2012年に日本一になれたんです。
「車いすの人も義足の人も、同じメダルを目指すのが面白い!」 ───上山
内田 パラアーチェリーならではの魅力ってどこにあると思いますか?
上山 リオ2016パラリンピックからは車いすに座っている人、義足で立っている人、手が動かせなくて口で弓を引く人など、障がいによるクラス分けがなくなったんです(重度なW1クラスを除く)。単純にメダルを取るのが難しくなったとも言えますが、障がいの種類に関係なく、みんなが同じメダルを目指すのは、ほかの種目にはない面白さだと思います。
内田 7位に入賞されたリオ2016パラリンピックの経験はいかがでした?
上山 観客席がぶわーっと埋まっている中で競技をする経験は初めてだったので、「自分、スポーツ選手なんやな」と(笑)。声援に力をもらえたし、 試合中に音が聞こえないくらい集中できたのは初めての経験でした。
「やっぱり子供にはすごいお父さんだと思ってもらいたいですね(笑)」 ───上山
内田 上山選手はふたりのお子さんを持つお父さんでもあるんですよね。
上山 はい。僕がテレビに映ると「パパ!」って喜んでくれますし、試合を観にきてくれることも。やっぱり父親って子供にすごいお父さんだと思ってもらいたいんですよね。そのために頑張っている部分もあります。
内田 「東京2020」はもちろんですが、ほかに応援に行ける大会は?
上山 今年9月に埼玉県で行われるトーナメント大会ですね。アーチェリーは、狙ってから射るまでに3秒くらいあるんですが、その3秒間は観ているほうも選手と同じ気持ちになってドキドキできるスポーツなんです。
内田 実際に観たらすごく緊張しちゃうと思う……(笑)。
上山 そういう視点で観ると絶対楽しいので、ぜひ応援に来てください!
だーりおがパラアーチェリーに挑戦!?
弓を実際に見るのも持つのも初めてのだーりおが、普段から上山選手が試合で使っている弓と車いすをお借りしてチャレンジ!
「技術はもちろん体力と筋力が必要! 上山選手のすごさを実感しました」
「実は私、もともとテレビで観かけるたびにアーチェリーにすごく憧れがあったんです。でも実際は想像以上に体力と筋力が必要だということが判明。しかも弓を持ち上げた状態で弦をギュッと引かなきゃいけないので、ぶれずに照準を合わせるなんて並大抵じゃないと知りました。野球や陸上に比べてアーチェリーに詳しい人があまりいないからこそ、この機会にもっと詳しくなれたらカッコいいかも♡ パラリンピックも絶対応援したいと思います!」
【プロフィール】
上山友裕さん
うえやま・ともひろ●1987年8月28日生まれ、大阪府出身。 パラアーチェリー リカーブ W2クラス。同志社大学在学中にアーチェリーを始める。両下肢機能障がいのため、社会人1年目の2010年冬にパラアーチェリーの大会に出場。2013年、世界選手権に初出場。JOCが運営する「アスナビ制度」を利用し、2014年に三菱電機入社。2016年のリオ2016パラリンピックは7位入賞を果たした。全国身体障害者アーチェリー選手権大会では2015年から2017年まで3連覇している(2018年は台風により中止) 。
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取材・文/松山 梢 撮影/平岩 亨 ヘア&メイク/野口由佳(ROI) スタイリスト/高橋美帆