東京パラリンピック開幕(8月25日)まで、ちょうど200日となった2月7日、日本パラリンピック委員会(JPC)は東京都内で会見を開き、日本代表選手団を競技の垣根を超えたワンチームとする「TEAM PARALYMPIC JAPAN」(TPJ)の誕生と、コンセプトやロゴマーク、スローガン「超えろ、みんなで。」を発表した。パラリンピックで日本選手団のスローガンなどを作るのは初めてで、今後は応援機運醸成に向け、さまざまに展開される予定。さらに、金メダル獲得目標を20個に設定したことも発表された。
TPJについて、JPCの高橋秀文副委員長は東京大会での日本代表選手への応援ムーブメントを最大化するための「旗印」とし、特に、「TEAM」という言葉には、選手やスタッフだけでなく、用具製作者などさまざまに支える人から応援する人まで一体となり、「すべての人を巻き込む」といった意味が込められていると説明。
ロゴマークは無数の赤によって構成された一つの円がデザインされており、選手一人ひとりが個性としての自分の色を持ちながら、同時にチームにもなっているというTPJのあり方の象徴とした。
スローガンの「超えろ、みんなで。」は選手の思いを表すだけでなく、支えたり応援したりするすべての人が同じ思いでパラリンピックを迎え、皆で一丸となり、超えたいものや超えるべきものを超えていこうという想いを込めたキャッチコピーという。
会見には、日本選手団団長にも就任している河合純一JPC委員長と、車いすテニスで3つのパラリンピック金メダルを獲得している国枝慎吾選手も登壇した。
河合団長は全盲のスイマーで、パラリンピックには6大会連続出場し、金5個を含む日本人最多の21個のメダルを獲得し、日本選手で唯一、国際パラリンピック委員会の殿堂入りも果たしている他、現役中から日本パラリンピアンズ協会会長や日本身体障害者水泳連盟会長などを歴任。現役引退後は日本スポーツ振興センター(JSC)に勤務して科学的見地からの選手支援を経て、今年1月1日付けでパラアスリート出身として初めてJPC委員長にも就任したばかり。夏季大会では初の選手出身の団長となり、長年の多様な現場経験に根差した手腕で大会を成功に導くことが期待されている。
「応援の力は、自分の実力以上の力を発揮できる大きな後押しになる。選手はプレッシャーでなく、追い風にしてパフォーマンスに生かしてほしい」と期待を寄せ、選手団長としては、「選手の最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが役割。最高の形で迎えて、『史上最大最高のパラだった』といってもらえるような大会にできれば」と意気込みを語った。
また、2月2日に閉幕した全豪オープンテニスで10度目の優勝を飾った国枝選手は、「このタイミングで(発表会見に)参加できて嬉しい。約1年半ぶりの(シングルス)優勝で格別な思いだし、(東京パラが控えた)2020年の1月の大会で優勝できたことは、パラリンピックイヤーに明るいニュースを届けられたかと思う」と話し、TPJのロゴについては、「きれいなグラフィック。シンボルを掲げて臨めるのは選手としてモチベーションが上がる」と歓迎した。
「金メダル目標20個」について、高橋副委員長は、「ストライクの範囲内だが、高めいっぱいのストライク。チャレンジングな目標だと認識している」としつつ、2017年1月にJPC内に新設した東京2020大会特別強化委員会を中心にさまざまな視点から協議し、総合的に判断して設定したと説明した。
河合団長は、「高めな目標と認識しているが、不可能ではない。選手が最高のパフォーマンスを発揮した結果としてこの目標に到達すると信じ、選手やコーチ、競技団体をサポートしたい。多くの皆さんにも応援していただきたい」と呼びかけた。
代表内定も決め、金メダルが期待される国枝選手は、「いよいよ迫ってきたという実感はあるが、車いすテニスは全豪の次に全仏、ウィンブルドンと続き、その先にパラリンピックがある。目の前の目標を一つひとつクリアすることが自分の向上につながる。そこはぶれずにやっていきたい。(東京パラでは)金メダルを目指す。今後、ケガに気を付けて力を存分に発揮できれば」と意気込みを語った。
Photos&Text:Kyoko Hoshino