女子は同タイムながら、僅差で喜納翼(左)が優勝、土田和歌子が2位
■女子は「チーム戦」に期待感
2選手のみ出場の女子は喜納翼(タイヤランド沖縄)が1時間45分4秒で1位、土田和歌子(八千代工業)が同タイムで2位となったが、いずれも目標タイム2位相当となる1時間36分26秒も上回れなかった。
喜納は参加資格ランキング4位につけ、目標となった1位相当タイム1時間35分50秒は喜納自身のもので、内定圏内にいる。マラソン歴約4年の喜納は、「風もあり、気温も低い中での(初の)周回コースで、タイム的には厳しくなるだろうというところもあり、シンプルに今どれだけ走れるかをみるために出場した」と言い、「向かい風でも(ペースが)思ったほど落ちなかった」と、昨年から精力的に取り組む筋力強化の手ごたえを口にした。
「憧れの存在」と話すベテラン土田との“二人旅”も、「勉強になった。風向きがコロコロ変わる中で風よけが有効となるポジション取りや向かい風での土田さんの走り方やピッチを後ろから見させてもらい、いろいろイメージしながら走れた」と振り返った。
初出場を目指す東京パラリンピック出場内定圏内にいる喜納翼
誰よりも近い位置にいる東京パラに向けて、「内定が出てからというところはあるが、しっかり走り込み、しっかり走れる体を作って行きたい」。初の大舞台に向け、静かな闘志をうかがわせた。
土田は冬2回、夏は5回出場のパラリンピック金メダリストで、8度目となる東京パラはトライアスロンとの“二刀流”で狙っている。今レースではランキング7位から圏内入りを目指したが、来月にトライアスロンのアジア選手権も控え、マラソンに向けた「いい状態は作れなかったが、今後につなげられる展開ではあった」と前を向いた。
トライアスロンとの“二刀流”で東京パラ出場を目指す土田和歌子
2016年、メダル獲得を目指したリオパラリンピックでは「チーム戦」を仕掛けるアメリカや中国勢に対し、土田は孤軍奮闘するも僅差の4位に終わっていた。東京パラを含めた今後を考えると、喜納の存在は大きく「二人で協力して走れた経験は一つの収穫」と笑顔を見せた。
“二刀流”ついては、「挑戦が自分の成長につながっているし、挑戦によって今の自分がある。両立したい」と言い切り、出場権獲得機会については、「残り少ないが、一戦一戦大切に挑戦していきたい」と力を込めた。
星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko 小川和行●写真 photo by Ogawa Kazuyuki