8月24日に開幕する東京パラリンピック。9月5日までの12日間、22競技で熱戦が繰り広げられる。日本代表選手団は史上最多で、前回の2016年リオ大会ではゼロに終わった金メダル獲得に期待が寄せられる。そこで、5回にわたって金メダル最有力候補を紹介する。第4回は、パラ陸上の2人だ。
【#1佐藤友祈(T52/車いす)】
5年前の雪辱を果たし、真の世界王者へ
日本人選手で最も金メダルに近いのが、車いすランナーの佐藤友祈だ。前回の16年リオパラリンピックでは、400m、1500mともに銀メダルと、あと一歩のところで世界の頂点には届かなかった。その後、17、19年世界選手権では両種目ともに優勝し、現在では世界トップランナーとなった。
しかし、パラリンピックの雪辱はパラリンピックの舞台でしか晴らせない。最大のライバルは、リオで敗れたレイモンド・マーティン(アメリカ)だ。19年世界選手権では、マーティンに完勝した佐藤だが、5年越しとなる世界最高峰の舞台での勝負を制し、真の王者となる。
課題として重点的に取り組んできたのは、初速スピード。スタートからスピードに乗るまでの時間を短縮し、レース序盤から力を発揮するのが狙いだ。今年6月の記録会では非公認ながら1500mで自らの世界記録を1秒以上上回る3分23秒79の好記録をマークするなど、調子は上向きだ。
東京では、ライバルの前で世界新での金メダル獲得と圧倒的な強さを示し、2度、オリンピックスタジアムのセンターポールに日の丸を掲げるつもりだ。
<さとう・ともき>
1989年9月8日、静岡県生まれ。モリサワ所属。21歳の時に脊髄炎が原因で左腕と下半身に麻痺が残り、車いす生活となる。12年ロンドンパラリンピックを目にしたことをきっかけにパラ陸上を始める。初出場の15年世界選手権では400mで金メダルを獲得。2021年1月にプロ転向を発表し、2月にはモリサワと所属契約を締結。「prierONE(プリエ・ワン)」のチーム名で活動している。
写真/越智貴雄[カンパラプレス] 文/斎藤寿子