【#2上地結衣】
因縁のライバル制し日本女子初のパラ覇者に
前回のリオ大会で女子では初めてメダル(銅)を獲得したのが、現在女子シングルスで世界ランキング2位の上地結衣だ。3度目のパラリンピックとなる今大会では、表彰台の一番高いところを狙う。
身長143cmと小柄な上地が、高さやパワーで上回る海外勢相手にも屈することなく世界トッププレーヤーに君臨し続けている要因は、戦略を遂行するだけの巧みな技術、長いラリー戦を得意とするメンタルの強さにある。
そして何より大きな武器となっているのが、バックハンドショットだ。女子の多くがスライスを打つのに対して、上地は体幹トレーニングを重ねるなどしてトップスピンを習得。スピードがあり、低い弾道をいくボールはバウンド後に伸びるため、相手にとっては非常に脅威だ。女子では世界でも少ないため、対応するのは至難の業となっている。
最大のライバルは、世界ランキング1位のディーデ・デフロート(オランダ)だ。東京パラリンピック前最後の対戦となった今年6月の全仏オープンでは、決勝でストレート負けを喫した。過去の対戦成績は上地の15勝22敗。
体格に恵まれ、パワーテニスをしてくるデフロートに対し、正確無比でバリエーション豊富なショットで振り回し、試合の主導権を握りたい。
また、ダブルスにも強い上地には、世界ランキング5位で今年のウィンブルドン初戦で上地を破った大谷桃子と組むことが予想される女子ダブルスにも期待がかかる。車いすテニス界日本女子初の金メダル獲得で、歴史の名を刻む。
<かみじ・ゆい>
1994年4月24日、兵庫県生まれ。三井住友銀行所属。先天性の二分脊椎症。11歳から車いすテニスを始め、14歳の時には史上最年少で日本ランキング1位となる。2014年の全仏オープンで日本女子としては初めてとなるシングルスでグランドスラム優勝。同年、ダブルスでは年間グランドスラムを達成した。パラリンピックは高校3年の時、2012年ロンドンに初出場し、単複ともにベスト8。16年リオではシングルスで銅メダルを獲得した。
写真/越智貴雄[カンパラプレス] 文/斎藤寿子