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2022.01.15 OUR PASSION スケートボード PR
大内龍成(ブラインドスケートボード)

#23「スケボーと一緒に道なき道を切り開いていきたい」
ブラインドスケートボード 大内龍成さん

「チャレンジド・スポーツ プロジェクト」を掲げ、多彩なパラスポーツとパラアスリート支援に力を注ぐ「サントリー」と、集英社のパラスポーツ応援メディア「パラスポ+!」。両者がタッグを組み、今最も注目すべきパラアスリートやパラスポーツに関わる仕事に情熱的に携わる人々にフォーカスする連載「OUR PASSION」。東京パラリンピックによってもたらされたムーブメントを絶やさず、さらに発展させるべく、3年目のチャレンジに挑む!

今回取材したのは、「網膜色素変性症」という段階的に視力が弱まっていく目の難病によって、現在は視界の95%を失いながらも日々スケートボードと真摯に向き合う大内龍成さん。彼が白杖を巧みに操りながら繰り出すダイナミックなトリックの数々はSNSを中心に大きな注目を集めている。「見えない」恐怖や不安に打ち勝ち、「ブラインドスケートボード」という新しいジャンルを開拓すべく奮闘する若きクリエイターの素顔に迫った。

──最初に、大内さんはスケートボードとどのように出会ったのですか? 
幼い頃に両親の影響でスノーボードをやっていて物心つく頃には自分のボードがあって、という環境だったので横ノリスポーツそのものは昔から好きでしたけど、スケボーをちゃんと始めたのは中学3年のとき。友達から勧められて始めました。いたって中学生らしい理由なんですけど、スケボーでかっこよく滑れたらモテるからみんなで頑張ろうぜっていう(笑)。それまでは小学校から剣道をやっていいまして、それはそれで稽古がかなりハードでしたが楽しかったです。精神論的な部分では剣道で学んだことが今に生きているかもしれませんね。

 

── そこからスケボーのどういったところに魅了されていったのでしょうか?
軽い気持ちで始めたスケボーですが、これが練習していくうちにどんどん楽しくなっていきました。シンプルに練習を重ねて技がひとつひとつできていく達成感がすごくて。これは人生に通ずるところもあると思うんですけど、何かを努力して成し遂げたときっていうのはめちゃくちゃ嬉しいじゃないですか。スケボーのそういうところに惹かれて、「このトリックをやりたい!」という一心でひたすら練習していましたね。最初はもちろんオーリーから、もうバカみたいに練習しましたよ。スケボーがすっぽり入るリュック型の通学カバンを背負いながら学校の行き帰りに毎日毎日オーリーを練習して、「やった!今日は3回飛べた!」みたいなことをただひたすらやっていました。中学校はスケボーをやるために通っていたようなものですね(笑)

── しかし当時はスケートボードをやることを両親から反対されていたそうですね。
はい。目が悪いから危ないというのと、何より僕の目の病気は紫外線があたると進行が早まると言われているので親はそこをすごく気にしていました。それでもどうしてもスケボーがやりたかったので友達が使い古した板をもらって練習していて。新品じゃなくても、とにかく滑れるなら何でも良かったんです。それを親が知って、「そんなにやりたいなら、わかった。買ってあげるから安全にやれよ。でも自分でやってみろ。好きならできるだろう」と。とにかく嬉しかったですね。スポンサーがついて板とか靴を支給してもらえるようになった今でも、あの日のことは忘れないですね。

 

── 大内さんのスケーターとしての原点ですね。

まさにそうですね。そこから自分のスケボーのコアみたいなものが作られていったと思っています。でもね、これは後から聞いたんですけど、実は自分がスケボーに出かけると親は常に保険証と診察券を準備してすぐに病院に駆け込めるように、いつ緊急の連絡をしてきても携帯にすぐ出られるようにしていたそうなんです。思えば怪我しちゃったときに迎えに来てくれたり救急外来に連れて行ってくれるのがめちゃくちゃ速かったんですよね。当時の自分は親にあまり協力してもらえていないという感覚だったんですけど、裏ではすごく心配してくれていたことを後から知って、いろんな人たちのサポートがあって自分はこうしてスケボーができているんだなと実感しました。

── そんなご両親も今ではスケーターとしての活動を応援してくれているとか。

「まさかお前がここまで続けるとは思わなかった。昔はやめさせたくて突き放したけど、ここまで自分の力でやってきたのは大したもんだ」と、普通に認めてくれていますね。

── 小学1年の頃に発覚した目の病気が高校生の頃にはかなり悪化していったそうですが、どんどん視界が狭まっていく自分とどう向き合ったのでしょうか。

 

スケボーを始めた中学生の頃からその予兆は出ていたんですけど、いざ病気の進行を実感し始めてからはメンタルがずいぶん掻きむしられましたね。それまでできていた技が少しずつできなくなっていくのが本当に怖くて、目標にしていたプロスケーターにももうなれないんだなと思ってスケボーと距離を置くようになっていきました。車の免許が取れなくなったことも本当に辛かった。高3のときなんて、「お前は免許どうする?」、「今の時代は電車でどこでも行けるからいらなくない?」っていうような会話が聞こえてきたりなんかすると「ちくしょう! 俺は取りたくても取れねえんだよ!」って周りに当たりまくり、なんなら「みんな俺と同じだけ苦しんじゃえばいいんだ」とさえ思っていましたから。それが自分のいちばんのブラック期。それからどんどん脱色して白くなってはいくんですけど(笑)

 

── 失ったスケートボードへの情熱を取り戻したきっかけはアメリカのブラインドスケーターの存在だったそうですね。

そうなんですよ。ある日、自分と同じ病気を持つダン・マンシーナというスケーターの動画を友達が見せてくれたんです。「こうやって目が見えなくても試行錯誤しながら滑ってるヤバいやつがいるんだよ。お前もあれだけスケボーが好きだったんだから病気から逃げんじゃねえよ」ってはっきり言われて目が覚めたというか。それで「おれたちだけはお前のことを普通のスケーターとして接するし、変に手助けとかしないから、助けて欲しいときは素直に言えよ」って言ってくれて。それで自分の目のせいにするのはやめようって。持つべきものは仲間というか、本当に出会いに恵まれたと思ってます。

──白杖を使い始めたのもダン・マンシーナの影響とか。 

白杖を使うと自分が視覚障がい者であることを認めることになるような気がして頑なに避けていたんですけど、マンシーナのように滑るためには杖がないとできないと思って親にお願いして買ってもらいました。「これからはスケーターではなく、ブラインドスケーターになってやる」って。

──自身がマンシーナに影響を受けたように、今後スケートボードを通して障がいを持つ子どもたちに向けて何かしら発信していきたいなという思いはありますか?

もちろんあります。今はまだ学生なのでしっかりとそういう活動はできていないんですけど、卒業したら本格的にそこに向けて動いていこうと思っています。まずは自分と同じような視覚障がいの人たちにどうやったらスケボーを広められるのかなということを第一に考えていて、団体の設立も視野に入れながらスポンサーにも協力をお願いしていきたいと思っています。

 

──スケーターとしての活動と並行しながら、鍼灸の勉強などもされているとか。

あん摩マッサージ指圧師という資格と、鍼灸師の勉強をしています。勉強が面倒くさく感じることもありますし、スケボーの練習と並行しながらなので忙しいですけど楽しんでやれていますね。ちゃんと資格を取って、自分の方法を確立させた上でスケーターに手厚い治療ができる治療家になりたいんです。

 

──―ブラインドスケーターとしての夢はなんですか?

やっぱり視覚障がいのスケボーの競技化というのが今の自分にとって何よりの夢。団体を設立したいというのもそこに向けてという意味合いが大きいですし、いつかはパラリンピック種目になってほしいと思っています。最近はちょっとずつブラインドスケーターが増えてきていて喜ばしい限りなのですが、ただ先駆者として自分がもっともっと道を切り開いていかないと。例えるなら、今は道なき道であっても、そこを舗装して片側4車線くらいの広くて一度にたくさんの人が通れるような道にしていきたいんですよ。大変なことだと思いますけど誰かがやらないと。それが自分の宿命だと思って、みんなが楽しくスケボーができる世界を作れたら嬉しいですね。


──競技としてのスケートボードと、ストリートカルチャーとしてのスケートボード。そこがより良い形で共存していくといいですね。

本来ストリートの文化であるスケボーなのに街でやっていると怒られ、かといって自由に滑れるのは本当に限られた数のパークしかない。それはひとつこの社会が抱える矛盾点。何かしらうまく解決できる問題なはずなんですけど、そのためには知名度のあるスケーターたちがひとまとまりになってもっと発信していかないといけないですよね。なんなら自分がその口火を切りたいとも思っています。最初は批判されてもそれをぶち抜いて定着した文化というのはたくさんあると思うので、日本におけるスケボーもそうなっていけるようにいろんなことを先頭きって発信していきたいです。

 

──ちなみに、ダン・マンシーナと直接会ったことはありますか?
これまではインスタ上でやりとりしたことがあるくらいですが、実はこの3月にアメリカに行って彼とセッションできるかもしれないんです。それが実現したら全力でハグしたいです。「あんたのおかげで俺の今があるんだよ!」って。

 

──この先、大内さんが誰かにとってのそういう存在になるかもしれませんね。

そうなりたいですね。だからこそ、自分がマンシーナから受けた刺激を同じベクトルで他の人たちにも渡して行けたらいいなと思っています。

PROFILE

おおうち りゅうせい●2000年生まれ、福島県郡山市出身。小学1年生の頃に徐々に視野が狭まっていく難病「網膜色素変性症」と診断される。小学6年頃から徐々に目が悪くなっていくが、中学では剣道部に所属し、3年時に友人の勧めでスケートボードを始める。高校2年頃から急激に症状が悪化し一時はスケートボードでプロになるという夢を諦めかけたものの、盲目のスケーターとして世界的な知名度をほこるダン・マンシーナの存在を知ったことで本格的に「ブラインドスケーター」としての活動を開始。現在は埼玉県所沢市を拠点に、鍼灸やあん摩マッサージ指圧の資格取得をめざしながらブラインドスケートボードの普及活動に情熱を注いでいる。(Instagram:@the_jido)

SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト
www.suntory.co.jp/culture-sports/challengedsports/

 

Photos:Go Tanabe Composition&Text:Kai Tokuhara

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