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2019.12.26 パラトライアスロン
連載【BREAK THE LIMIT】Vol.1

パラトライアスロン谷 真海、限界を超えるための挑戦〜第1回
8月、お台場で見えた“1年後”の景色

「変化を恐れず、限界の蓋を外す」。そんな信条を胸に、走幅跳からパラトライアスロンに転向して自身4度目となる夢の舞台をめざしている谷 真海。自ら招致スピーチを行った「東京2020パラリンピック」をアスリート人生の集大成に。パラリンピアンの顔である彼女の、飽くなきチャレンジを追っていく。

 

 

2019年8月17日、お台場海浜公園の特設会場でITU(国際トライアスロン連合)パラトライアスロンワールドカップの東京大会が開催された。

 

来年の東京2020パラリンピック出場に向けた重要なポイントレースであり、同時に本大会と同じコースレイアウトで開催されるテストイベントということもあって世界中のトップアスリートたちが猛暑のお台場に集結した。

 

本来のクラスであるPTS4がパラリンピック種目から除外されたため、より障がいの軽いPTS5クラスで本大会を目指さなければならないという逆境でのチャレンジが続く谷 真海にとっても、言うまでもなく来年の本番を見据えた非常に重要な大会となった。

 

しかしながらレースは思いもよらないスタートを迎える。

 

連日の猛暑の影響からか、水質リスクがITU基準のレベル4に達してしまったため急遽スイムが中止。前日のエリートクラスまでは通常通り競技が行われたのだが、この日のパラトライアスロンは全クラス、「ラン2.5km・バイク20km・ラン5km」の「デュアスロン」フォーマットによってレースが開催されることになった。

 

そんなアクシデントの中、スタートラインに立った谷 真海。

 

「デュアスロン形式はさすがに初めてでしたね(笑)。トライアスロンでさえ競技を始めてまだ3年というキャリアなので、やったことのないルール、しかもぶっつけ本番で大事なレースを走ることに正直動揺はありました」

 

レース後にはそうスタート前の心境を振り返った彼女だが、そこは走幅跳時代から数々の大舞台を経験している百戦錬磨のトップアスリート。スタート時にはそんなそぶりは一切表に出さず、「条件はみんな同じ」と言わんばかりに笑顔でコールを受け、スタートラインではライバルたちと力強く健闘を誓い合った。

 

 

午前8時20分、レースが始まる。

 

その時点で気温はすでに31℃に達そうとしていた。

 

「この暑さによって相当タフなレースになることは想像できましたので、最初のランは飛ばしすぎず、しっかり抑えながら走ることを心がけました。それでも、思っていた以上に消耗は激しかったです」

 

谷自身そう語るとおり、レースは序盤から消耗戦の様相を呈す。アスファルトに照りつける熱波は時間とともに激しさを増し、さらに真夏の東京特有の湿った空気が選手たちの体力を容赦なく奪う。

 

「想像通り、いえ、それ以上の暑さでしたね。自分としては東京の夏に慣れているという点でアドバンテージがあるかなと思っていましたが、走りながら各選手がしっかり気候対策をしていることが実感できましたので、先にバテないようにしっかりペースをキープしながら走りました」

 

 

まずは10分17秒というPTS4クラス2番手のタイムでバイクトランジションエリアに入った谷。ここから、彼女自身が「今年最も課題にしている」というバイクの20kmがスタート。

 

 

実は今年春から、トランジションスピードを速くするためにバイクでもカーボンのバネがついたラン用義足をそのまま採用していた彼女。4月に沖縄で取材した際にも、PTS5クラスでパラリンピックをめざすためのそのチャレンジに対して手応えを語ってくれていたが、このレースでは再びランとバイクで義足を履き替えるスタイルに戻っていた。

 

「実は直近の2大会でバイクがかなりブレーキになってしまっていたので、この大会ではトランジションのスピード云々よりも着実にバイクそのもののタイムを速くすることを目標にしました。義足を履き替えるスタイルに戻したことに関しては、ストレスなく移行できていると感じています」

 

いかにして上のクラスで闘えるスピードを手に入れるか。彼女なりの思考錯誤が続いているのだろう。このバイクのブラッシュアップという点は今後も注目していきたいポイントだ。

 

そして、課題のバイクでは1人に追い抜かれるも、トランジションでその選手が棄権となったため結果として2位のまま最後のランへ。勝負のラスト5kmはまさに極暑との闘いとなった。

 

 

「気温もぐんぐん上がっていたので本当にきつかったです。でもホームだけあって周回を重ねても声援が途切れず、本当にエネルギーをいただきました。このレースに関しては皆さんが私を引っ張ってくれたように思います。あの応援がなければゴールする前に心が折れていたかもしれません」

 

結果は、PTS4クラス2位でゴール。沿道の声援や周囲の期待を力に変えながらの、まさに気力のランだった。

 

 

水質問題によるスイム中止に想定以上の暑さ。東京2020のテストマッチとしては大きな課題も残したレースとなったが、谷自身はパフォーマンスを出し切れた手応えを感じたのだろう。ゴール後は疲労の色を滲ませながらもこう語ってくれた。

 

「このタイミングで、東京2020と同じコースを同じような環境で走りきれたというのはすごく自分の中で大きかったですし、感慨深かったです。来年、本大会に出場したいという思いがさらに強くなりましたね。とはいえ、出るためにはまだまだポイントを重ねていかなければなりませんので厳しい状況に変わりはありません。ここからの1年間、モチベーションを高いレベルで保ちながら主要レースに出続け、結果を残していくことは本当に難しいチャレンジになりますが、なんとか自分を奮い立たせて頑張っていきたいと思います」

 

約1年後、この日と同じお台場の舞台に果たして谷 真海は立つことができるのだろうか。この日2位でゴールしたようにPTS4ではトップクラスの実力を備えながら、本大会は前述の通り上位クラスのPTS5も含めた選考レースとなる。ハードルは高いが、きっと彼女ならやってくれるだろう。谷 真海のアスリート人生をかけた壮大なチャレンジを、今後も追い続けたい。

 

 

[RESULT]
2019.08.17 ITUトライアスロンワールドカップ(2019/東京)
PTS4クラス 2位
タイム/01:15:14(ラン10:17・トランジション01:08・バイク37:49・トランジション01:22・ラン24:38)

 

PROFILE
たに まみ●1982年3月12日生まれ、宮城県気仙沼市出身。旧姓・佐藤真海。早稲田大学在学中に骨肉腫によって右脚膝下を切断。卒業後サントリーに入社し、走幅跳でアテネ、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場。2013年にはIOC総会の最終プレゼンテーションで招致スピーチを行う。2016年からパラトライアスロンに転向し、2017年の世界選手権で優勝を飾る。

 

写真/井出野下貴裕  構成・文/徳原 海

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