いよいよ約10ヶ月後に迫った大舞台に向けて、“金メダル”という確固とした目標を掲げながら著しい進化を遂げている車いすバスケットボール日本代表。中でもチームの最大の“伸び代”となっているのがU23世代の若きホープたちだ。前回の古澤拓也選手、鳥海連志選手、赤石竜我選手のインタビューに続き、ここでは彼らを中心とするU23日本代表が参戦した「北九州チャンピオンズカップ 国際車いすバスケットボール大会」の様子を臨場感あふれる写真の数々とともにお届けする。
11月22日〜24日にかけて、北九州市立総合体育館で開催された北九州チャンピオンズカップは今年で16回目となった歴史ある国際大会。今年は日本、ドイツ、オーストラリア、カナダの4カ国が参加。昨年の同大会で3位という悔しい結果に終わっていたU23日本代表にとってはこの1年の強化が試される場であり、同時に来年の大舞台を見据えた非常に重要なテストマッチとなった。
取材班は大会2日目から取材開始。大会初日に行われた予選リーグ初戦のカナダ戦で57-34と快勝を収め、幸先のいいスタートを切っていたU23日本代表。2戦目のオーストラリア戦を57-24、3戦目のドイツ戦も51-33と、攻守の切り替えスピードに重きを置いた得意のトランジションバスケでオセアニアとヨーロッパの強豪を立て続けに圧倒し、難なく決勝に進出した。
そして決勝では、さらに一段階ギアが入ったようにスピードと力強さを増したU23日本代表。スピード感あふれるオフェンスと強固なディフェンスでコート上を完全に制圧し、60-23というダブルスコア以上の数字でドイツ代表を破ってみごと優勝を果たした。
昨年の3位という結果を大きく上回り、世代全体の底上げを強く印象づけてくれたU23日本代表。ここからは、今大会でとくに活躍が光った選手たちを紹介していこう。
まずは、今やU23日本代表の大黒柱に成長した鳥海連志選手。シニアの強化指定でも常連となっている20歳は、徹底したフィジカルトレーニングによってこの1年でひと回り体が大きくなり、持ち前のスピードとテクニックに加えて外国人選手に当たり負けしない強靱なフィジカルを手に入れたようだ。大会を通して別格の存在感を示した。
今年初めてシニアの強化指定にも名を連ねるようになった20歳の髙柗(たかまつ)義伸選手は、この大会で大きく飛躍した1人。ビッグマンが揃うオーストラリアやドイツ相手でも怯むことなくインサイドを制圧。攻守両面のキーマンとして大きく機能していた。今大会の「最多リバウンド」を受賞。
チーム最年少の18歳とは思えない、アグレッシブなプレーでチームに勢いをもたらした古崎倫太朗選手。とくにきれいなフォームから繰り出されるアウトサイドシュートは確実に相手の脅威となっていた。今後が楽しみな逸材だ。
18歳にしてシニアの強化指定にも選ばれている赤石竜我選手。前回記事のインタビューでも車いすバスケに対する真摯な思いを語ってくれている彼だが、今大会では若くしてエース級の大活躍。コート上を縦横無尽に走り回り、ここぞという局面で確実にシュートを決め切る勝負強さを見せてくれた。
そして主将の古澤拓也選手。23歳の彼にとっては今大会がU23日本代表として臨む最後の国際大会。それだけに人一倍強い思いで臨んでいたことは想像に難くないが、大会を通して貫禄すら感じさせる安定感抜群のプレーでチームを牽引。とくに真骨頂でもあるアウトサイドシュートの精度は群を抜いており、また今大会ではディフェンスの巧さも際立つなど、今後のシニアでのさらなる飛躍を感じさせるパフォーマンスだった。
そのように北九州チャンピオンズカップにおいて多くの選手たちがハイパフォーマンスを見せてくれたU23日本代表。車いすバスケットボール日本代表の将来を担うであろう彼らの今後に、さらに注目してもらいたい!
U23車いすバスケットボール日本代表
第16回 北九州チャンピオンズカップ成績
[予選リーグ]
11月22日 vsカナダ 57-34
11月23日 vsオーストラリア 57-24
11月24日 vsドイツ 51-33
[決勝]
11月24日 vsドイツ 60-23
SUNTORY CHALLENGED SPORTS PROJECT
サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト
www.suntory.co.jp/culture-sports/challengedsports/
サントリーグループの東日本大震災復興支援活動「サントリー東北サンさんプロジェクト」の一環として、岩手県・宮城県・福島県でチャレンジド・スポーツ(障がい者スポーツ)アスリートたちを応援するために、2014年より、本プロジェクトの活動を開始。2015年より、車いすバスケットボール日本代表の活動のサポートも行っています。
Photos:Go Tanabe Composition&Text:Kai Tokuhara